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23 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
待望,
By 霧雨太郎 (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ブラザーズ・クエイ ショート・フィルム・コレクション [DVD] (DVD)
待ちわびた国内版DVD。クエイの為だけにビデオデッキは設置したままという方や、海外版のDVDを購入した方も多く居られることでしょう。 いっその事Blu-rayでリリースしても良さそうなものですが、まだまだDVD主流の現在、カルト的作品にそこまで望むのは贅沢でしょうか。 ほの暗い性の隠喩に満ちた妄想の森に迷い込み、倒錯した悦楽に耽る半壊の人形達。 陰鬱で気だるい乾いた廃墟の中で、艶めかしく濡れて鈍く光る真っ赤な肉片。 意識と無意識の境界でまどろみながら繰り返される不毛な慰めと、果たされることの無い情事。 そして私達は、そんな世界に立ち会うというよりはそっと陰に隠れ 滂沱と流れる時間の中で忘れられた塵の一粒が、震えながら降り積もる様子までをも覗き見る。 クエイによって無機質の"物"が生(性)を受けて動き出すとき、そこに不思議な無垢の美しさと哀しさと愛嬌が生まれます。 同時に獰猛な肉欲の牙も芽生えるのですが、その肉欲の牙を、執事的な従属と諦念を持って奥ゆかしく隠すところがクエイの真骨頂だと思います。 そして、そこにこそクエイの求める快楽があるのかも知れません。 ともすればグロテスクで悪趣味になりがちなイメージを、慎み深く"隠に喩する"感性が素晴らしい。 捻じ曲がった欲望を、詩的で幻想的な世界を構築する要素に昇華させるところが、クエイ兄弟=映像の錬金術師と呼ばれる所以でしょう。 彼等の師・シュヴァンクマイエルの眼が客観的であるが故に直截的表現になるのなら、 クエイの眼は主観的であるが故に間接的表現になるのでしょう。 師弟共に心の奥をじっと見つめる姿勢は変わりませんが、クエイは最早あちら側(夢)の住人になってしまった感じさえあります。 これらの映像は、クエイ兄弟によって彼岸から此岸に届けられた、極めて私的な秘密のレポートとも見て取れます。 また、クレジットに使われているカリグラフィーの美しさも特筆ものです。 クエイ兄弟のセンスが隅々まで行き届き、発揮されていることが解ります。 唯一残念な点は、UK・US版DVD同様、「レオシュ・ヤナーチェク」(1983年)未収録という事です。これが収録されていれば完璧でした。 尚、上記商品の説明・内容紹介には記載されていない「ファントム・ミュージアム」(2003年)ですが、 発売元・東北新社に紹介されている商品詳細を参照しますと、Disc2に収録されているようです。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
DVD化を20年以上待っていた!映像の文化遺産。,
By
レビュー対象商品: ブラザーズ・クエイ ショート・フィルム・コレクション [DVD] (DVD)
以前のストリートオブクロコダイルの作品のためだけにビデオデッキを今だに所有していた。そして、DVDに時代が移りDVD化を望む声も多かったが、ここまでくるのに20年以上かかった。 内容は前回のVHS版収録を除けばほぼ完璧です。 ただ、これに限っていえばショートフィルムのみのため クエイブラザーズの作品をすべて収録しているというわけではありません。 その点が残念ですが。 すべての作品ということになると、別途のコレクターズBOXになると思います。 実写版も収録のため「レオシュ ヤナーシェク」が収録されていない点を除けば 現在ではほぼ完璧版になるでしょう。 いずれにせよ、クエイ兄弟の作品が堪能できるのはこの2つだけです。 VHS版に収録されなかった作品を含めあらためて見ると、 現在のCG作品のモーションアニメが大変言葉は悪いですが陳腐にみえます。 これは映像の文化遺産ですね。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
彼らの精神世界を探検できる,
By のじり (埼玉県春日部市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ブラザーズ・クエイ ショート・フィルム・コレクション [DVD] (DVD)
伝説的な『ストリート オブ クロコダイル』。だが長く観る機会もなく過ぎた。その後、このDVDの存在を知った。だが、『ショートフィルムコレクション』といいつつ結構なプライス…。で、なかなか購入に至らず。 先日、『ピアノチューナー・オブ・アースククエイク』を観るとこれがとても魅力的。俄然この作品集も欲しくなってしまった。 入口がシュヴァンクマイエルだったこともあり、つい比べてしまう。(←よくないことだが) シュバンクマイエルはシュールだが『表現への意思』が画面から強く感じられ『戦闘的シュールレアリスト』という表現も納得させられる。 だが、この作品集はシュールではあるものの『戦闘的』でも『何かを表現する意思を感じさせる』ものでもない。 これは彼らの精神世界の一部を見せてもらうといったものだ。(それは朽ち果て生気がなく闇に閉ざされつつあるが胎動のようなものも感じさせる奇妙な世界だ) そういった作品群の為、その世界に波長が合わなければ愉しめないと思う。間口は狭いといえる。 しかし、間口は狭いが、その奥の世界は深い。 この世界に触れるということはロウソク一本で深い洞窟に入るようなものだ。ロウソクの光は奥まで届かず先の闇に何があるのか。そんな闇の美しさに魅せられてしまう。音響も優雅で神経質で研ぎ澄まされ効果的だ。私にとってクレイアニメーション云々よりもこの精神世界に触れることに大きな魅力を感じる。 けして万人受けするものではないけれど、この暗く魅惑的な世界に浸ることを愉しめる方にお勧めします。(例えば『イレイザーヘッド』を愉しめる方など…) 商品の仕様も(高いだけあって)なかなか素敵です。上品な外箱。見事なデザインのジャケット。豪華だが混乱し寧ろそこが魅力のブックレット。豊富な特典(インタヴューやコメンタリー含む)。良い商品でした。
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