全体的には、余りにさらっと纏まりすぎている感がします。
シャム双生児のトムとバリー。二人は、ロック・スターとしてスターダムにのし上ります。しかし、ローラとの出会いから四画関係の愛憎劇に発展し破綻し、故郷に戻ることになります。
このシャム双生児として離れられない現実が二人を苦しめ、性格も徐々に変わってゆきます。そのあたりの描写はなかなかいいと思います。
逆に、愛憎劇や華々しいスターとしての活躍の状況が殆ど書かれていません。このあたりは、この小説のスタイルの関係もあるのでしょうが、もっと書いて話の抑揚を付けてくれていたらと思いました。
トムの夢の部分の描写は、非常にファンタスティックで効果的だったと思います。
この本は、1977年の作品で、心臓移植や脳死の問題がささやかれ始めた頃だと思うのですが、それをシャム双生児という異形のものをとりあげることによって、人間の「生」と「死」の境目の問題をさりげなく取り上げていて、そのあたりのこの作者の目の付け所の良さを感じました。