著者は森林昆虫学が専門。東北大学演習林にずっといたひとで、本書ではブナの森について、それから森に住む昆虫についての研究が紹介されている。
全体的に比較の視点から語られている。ブナの森は、他の森とはどのように違うのか。植生、動物、気候などを挙げながら、きっちりと語られていく。そのなかで生態系のバランスだとか、人間との関わりの歴史だとかも見えてきて興味深い。
専門の蛾や蝶の研究も面白い。ブナ、ナラ、ポプラには、それぞれ固有の蛾や蝶がいるのだが、その分布を研究することでブナなどの進化の過程が見えてきたり、ヨーロッパとアジア、日本の違いが分かったりする。
良心的に書かれた良い本だ。