「ブッダの実践心理学」、この一連のシリーズほど、上座仏教(ヴィパッサナー瞑想)を、我が国で、理論的に一所懸命学んでる者にとって、役に立ち、そして、面白い本はありません。
特に、この第4巻(心の消滅の分析)は、(「悟る」瞬間も含め)心の生滅及びその流れを、(限りなく短い時間をも意味する)刹那という単位を使って、(今風に言えば、デジタル的に)分析・解説したもので、「アビダンマ」の中で、恐らく最も奥義的、かつ、難解、しかし、面白い部分だと思います。
この本を何回も熟読、理解した上で、現代上座仏教の代表的な修行テキストとも言える「ミャンマーの瞑想(マハーシ長老)」を、改めて読み直してみると、数多くあった疑問点・理解できない点が、全て氷解していました。
理論的に納得しないと修行(瞑想)する気にならない、私のような理屈っぽい知識先行型の人間には、必読書だと思います。
ただし、問題もあって、「ブッダの実践心理学」(アビダンマ)に書かれていることは、我々が学校や世間で身に付けてきた常識と余りにもかけ離れており、上座仏教(ヴィパッサナー瞑想)を少し学んだだけで本書に挑戦しても、ほとんど、その内容を理解できないだろうし、当然、読んでも面白くないであろう、ということです。
私の場合も、2年前に初めて第1巻(物質の分析)を読んだときには、どうしても西洋科学的視点で見てしまい、頭がクラクラし、途中で投げ出してしまいました。
その後、「ブッダの実践心理学」以外のスマナサーラ長老の一連の著書を始め、日本語で書かれた上座仏教関連の書物を片っ端から読みまくり、知識を蓄えるとともに、地橋秀雄氏の指導するヴィパッサナー瞑想会・短期合宿等にも参加、実際に瞑想を行うようになり、上座仏教的発想・考え方が徐々に身に付き、本書も漸く理解できるようになりました。
多くの人が、かつての私と同じような理由で、第1巻(物質の分析)で潰れ、第2巻(心の分析)以降に達することができていない、のではないでしょうか。各巻ごとの「売上ランキング」や「中古本の出品状況」を見ると、そのように考えざるを得ません。
そこで、「第1巻(物質の分析)で挫折してしまった方」に、私がお勧めする読み方は、次のとおりです。
まず、「心所」について、簡略に分かり易く書かれている「心の中はどうなっているの?(スマナサーラ長老)」を、熟読します。すると、第3巻(心所の分析)を、楽に理解することができます。そこで、第3巻をつかみ所にして、同じく心に関して書かれている第2巻(心の分析)・第4巻(心の消滅の分析)に挑戦すると、えーっと思えるぐらい楽しく興味深く読むことができます。そうなれば占めたもので、(個人的には一番拒絶反応の大きかった)第1巻(物質の分析)も、スルスルと理解できます。そして、恐らく(現時点では未発刊の)第5巻以降も、難なく理解できるようになるのでしょう。
第5巻以降の発刊が、とても楽しみです。