本書は、パーリ語中部経典第10経『四念処経Satipatthana Sutta』に基づいた解説である。パーリ語長部経典第22経『大念処経Maha Satipatthana Sutta』も同様の内容である。なお、呼吸の練習法を説く経典として紹介されるパーリ語中部経典第118経『呼吸の十分な気づきの経典Anapanasati-Sutta』(p.20)は、故ブッダダーサ比丘の講義録『Mindfulness With Breathing』(三橋円寒の日本語訳『観息正念』)に詳しい。
ブッダ釈尊の教法「八正道」を理解するために、釈尊自身の論理に従って私が独自に整理したものを次に示す。
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菩提分:慧1 ⇒ 信 ⇒ 戒 ⇒ 勤 ⇒ 念 ⇒ 定 ⇒ 慧2
道 諦:身1(色)⇒感情1(受)⇒ 心1(想) ⇒ 感情2(受) ⇒身2(色)⇒心2(行・識)⇒無明
八正道:正見1 ⇒正思惟⇒正語・正業・正命⇒正精進⇒ 正念 ⇒ 正定 ⇒ 正見2
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本書の『四念処経』の説明は、身念処・受念処・心念処・法念処からなる「四念処法」、念覚支・択法覚支・精進覚支・喜覚支・軽安覚支・定覚支・捨覚支からなる「七覚支」、苦諦・苦集諦・苦滅諦・苦滅道諦からなる「四聖諦」と進む。四聖諦の道諦と八正道の関係は上に示した。
「七覚支」の明確な説明はこれまで見たことがないが、八正道と四念処法を理解すれば自ずと明らかになる。すなわち、念覚支=正念、択法覚支=身念処、精進覚支=正精進、喜覚支=受念処、軽安覚支=心念処、定覚支=正定、捨覚支=法念処なのである。
初歩的な「四念処法」でよいから、その心構えを日常生活に活用すれば、「八正道」の正見・正思惟・正語・正業・正命がある程度出来るようになる。その継続(正精進)が苦にならなくなれば、四沙門果の第一段階の聖者であるシュダオン(預流)になっている。
その段階から始める修行が、「七覚支」である。つまり、「八正道」の「正念」と「正定」の実践とは、<「正念」が働くようになった本格的な「四念処法」=「六覚支」>の実践であることが具体的に示されているのである。そして、七番目の「捨覚支」が「究極の悟り」であり、上に示した「正見2」に相当するのである。