龍樹の「中論」をここまで緻密に分析した本は今まで見た事がない。
中論を題材にした本は少なくないが、ほぼその全ては、西洋思想に当てはめたり、瞑想と神秘の世界で終わったり、論理的に展開されても相依相関関係と捉える空に結論ずけらるものばかりである。
この本は、そうしたこれまでの龍樹研究より一重深い仏教の視点が平易な言葉で明かされた。
文体は難しくなく、一般人でも読み進める事も容易であるにもかかわらず、説かれた内容は高度で大乗仏教、上座部仏教を問わず、仏教を学するものは一読する価値がある。
日本においては故中村元氏の龍樹論を超えるものと言えるかもしれない。
この分野に関しては古今東西に残る名作ではないだろうか。
早期の英訳が期待される。
この作者の深い仏教理解には脱帽である。