結局、S&Gは1970年までの短い活動期間で、フォーク/フォーク・ロックの呪縛から解放されたオリジナル・アルバムを2枚しか作らなかったと言えるだろう。本作と、次作の「明日に架ける橋」である。この2作が無ければ、S&Gは重要な存在だったとはいえ、おそらくフォーク/フォーク・ロックのアーティストとしての評価しか残らなかっただろう。60年代を語る上で不可欠のアーティストにまでS&Gを飛躍させた傑作が本作である(「冬の散歩道」だけは66年の録音)。LP時代のA面のコンセプト化、多様な楽器の使用、テープ操作の多用はビートルズの影響があるのだろう。フォーク/フォーク・ロックの枠を打ち破った、多彩なチャレンジに満ちている。とはいえ、S&Gの個性の核は崩していない。そこが名作たる所以である。S&Gを代表する佳曲も#3、8、10、11と揃っていれば十分でしょう。ミセス・ロビンソンは「卒業」のサントラ盤では断片しか収められていなかったから、フルで収録されたアルバムは本作が初となる。
本作は2001年デジタル・リマスターで、2001年版発売時に追加されたボーナス・トラック2曲が#13、14として本作でも追加されている。