内容紹介
チェコ人形アニメの父である、偉大な恩師トルンカを支えながら、さらなるテーマを掲げてチェコアニメの未来を切り開いていった、ブジェチスラフ・ポヤル監督の歴史・作品・自身の言葉と、著者である評論家マリエによる、その作品への深い考察が語られている評論集。 現在もチェコで最も重要なアニメ作家として、現役で作家活動を続けるブジェチスラフ・ポヤルの全作品の詳細が年代順にわかる、フィルモグラフィー付き。 第二次世界大戦中、ドイツからの制圧を受けていたチェコにおいて、芸術家達にとっての芸術表現は自由なものではなかったが、ドイツ軍からプロパガンダ映画の制作を依頼されることで、彼らの腕は確実に磨かれていた。第二次世界大戦後、実力を備えたアニメ作家たちを指揮した才能あふれる監督、イジー・トルンカにより、チェコアニメの名はディズニーを抑えて世界中に轟き、短編アニメの国内での需要も高まった。そんな彼の傍らでアニメーターとしてそのキャリアをスタートしたポヤルは、トルンカの出した大いなる功績に甘んじることなく、新たなテーマを掲げ、さらに新たな技術を生み出し、作品を作っていく決意をする。トルンカとともに制作した「真夏の夜の夢」や、「飲みすぎた一杯」「ライオンと歌」などの代表作品をはじめ、多くの作品についてその当時の秘話や技術について、また本人のこだわりが語られている。ポヤルが作り出したチェコアニメの奥深い世界を作家と評論家の言葉から考察できる、貴重な一冊。
著者について
1916年3月3日ー2003年8月6日、プラハ生まれ。アニメ映画史研究家兼理論家。演劇芸術・美術をカレル大学哲学部(1952年)にてヤン・ムカロブスキー氏から、劇作法をFAMU(プラハ芸術アカデミー映画学部)にて学ぶ。1952年から1963年の間、チェコ・ステイト・フィルムの広報部門にて編集者として務める一方、チェコ映画の輸出にも携わる。1963年から1986年の間、チェコ映画研究所、理論研究部門に勤務し、チェコ映画分析(『1979-85年のチェコ映画制作の分析』)に関する研究グループの先頭に立った。60代の半ばから国際映画祭(祇園、ザグレブ、カルカッタ、バルナ等)のパネリストとして活躍。また、子供やアニメーション映画に関するユネスコおよびユニセフの国際研究、国際シンポジウムにも参加した。ブラチスラバにおいてアニメーション映画祭ビエンナーレを立ち上げた。アニメーション映画や子供向け映画に関する研究や記事を多くのチェコ内外の専門誌(Film a doba/Film and Epoch, Film a divadlo/Film and Theatre, Zbr/Shot, ASIFA等)に寄稿。また、アンジェイ・ムンク(1964年)、イジー・トルンカ(『「チェコの四季」から「真夏の夜の夢」まで』1961年、『イジー・トルンカ』1970年)、ヘルミーナ・ティールロヴァー(1963年、1984年)、カレル・ゼマンに関する研究書の著者でもある。『青少年のためのチェコスロバキア映画』(1964年)、『子供と映画』(1967年)、『1922年、1932年、1942年、1952年、1963年のチェコ映画における人間の肖像』(1969年)、『表象システムとしての映画』(1971年)、『青少年のための映画1945-1972』(1973年)、『チェコアニメーション映画の歴史からの断章』(1979年ヤロスラフ・ボチェク共著)、『チェコスロバキアにおける、こどものための映画と映画祭』(1980年)、『アニメーション映画の歴史』(1955年R. ウルク教授共著)といった映画理論と映画関連の文献の研究と特選集の編纂及び共著を行った。晩年はNrodn filmov archiv(国立映画保管所)において、占領下時代のチェコ地域のアニメーション映画制作の研究に従事した。