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そういう舞台設定なのでどうしても、川端康成『雪国』のイメージと抒情が先入観となって頭を離れない、という状況で読んでしまいました。ただ、読了後もそのイメージは壊れることがなかったので、この作品自体にも、先入観と期待を裏切らない雪景色の情緒と日本語の描写の旨さがあるということだと思います。
作品には美しい芸者は登場しません。主人公の冴えない孤独な青年と、ヒロインの盲目の物忘れの激しい老女が踊るのですが、どう考えたって美しくはないはずのその場面が、ブエノスアイレスの雪とあいまって、どうしても醜い場面とは感じられないのです。
温泉卵の黄身の半熟加減のような、つかみどころのない味わいです。
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