古くは万葉集から新しくは村上龍まで、金銭で売り買いされる性=フーゾクを描いた文献を渉猟し、フーゾクから日本史を眺めてみようという趣向である。
例えば公娼制度は、足利幕府が財政再建の一環として傾城局なる役所を新設し、娼婦、娼家から税金をとるようになったのが始まりという。公娼制度が廃止されたのは戦後だから、実に600年の長きに渡って売春は国家公認のビジネスであった。売春が違法になったのは、ここ50年ほどのことに過ぎないようだ。
平安時代に栄えた大阪淀川河口あたりの遊里を評して「蓋し天下第一の楽しきところなり」と評した貴族(大江匡房,1041-1111)が、いたそうだが
「上代、平安期においては乱倫は文化であって、不道徳ではなかった 」p33
とあるように、金銭で売り買いされる性は、今と違って基本的には明るくおおらかで、日本の伝統文化といってもいいのかもしれない。(石田純一はエラかった)。
法で規制すると地下に潜って反社会的勢力が跋扈する。現代の性はその意味で本来の日本の形ではないのだろう。なかなかに面白い本であった。なお、モザイクなしの枕絵が数点掲載されているので、電車で読むときには若干注意されたい。