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フロイトと作られた記憶 (ポストモダン・ブックス)
 
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フロイトと作られた記憶 (ポストモダン・ブックス) [単行本]

フィル モロン , Phil Mollon , 中村 裕子
5つ星のうち 2.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,575 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

心理療法やカウンセリングによって患者の心に実際には存在しなかった幼児期の性的虐待の記憶が作られる―「作られた記憶症候群」と名づけられて激しい議論を巻き起こした症状の元凶は果たしてフロイトの精神分析理論にあるのか?フロイトの思索の跡をたどり直し、記憶・抑圧・トラウマ等々をめぐるその見解をさぐる。

内容(「MARC」データベースより)

心理療法やカウンセリングによって実際には無かった幼児期の虐待期の記憶が患者の心に作られる-。偽りの記憶症候群と呼ばれる症状の元凶はフロイトの理論にあるのか? 記憶や抑圧を巡るフロイトの思索をたどり直す。

登録情報

  • 単行本: 109ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2004/8/26)
  • ISBN-10: 4000270761
  • ISBN-13: 978-4000270762
  • 発売日: 2004/8/26
  • 商品の寸法: 17.4 x 12 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 2.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
不充分です。 2004/10/5
形式:単行本
「一次資料を丹念に読めば、ご当人の言っていたことはもうちょっとフクザツだった」言いたいことはこれだけのような気がします。よくある「反論」の類ですね。
だからと言って「カウンセリング時に誘導してしまった性的虐待の『記憶』が精神疾患の原因だとした先駆のひとりがフロイトである」という事実は何も揺らぎません。
また、虚偽記憶批判派はフロイトだけを諸悪の根元としているのでもありませんし、精神分析批判派は虚偽記憶のみをトンデモだと言っているわけでもありません。
虚偽記憶論争についての文献は邦訳もかなり出ているのに、それを取りあげていない大平健先生の読書案内はまったく不充分であり、編集者の見識も疑われます。
本文は正味80ページしかなく、岩波ブックレットなみの分量しかありません。図書館で斜め読みで十分なレベルです。
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12 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 「作られた記憶」はフロイトのせいではない、とこの本は主張する。解説の大平健氏が「作られた記憶」を説明していないので、日本のふつうの読者には何のことやら分からない。アメリカで1990年代精神分析・心理療法の世界に吹き荒れた嵐を解説すべきでは?精神分析治療を受けた女性が実の親を幼児期に受けた性的虐待で告訴するという裁判沙汰が相次いだ。初めは親の側の敗訴が続いたが、親の側が財団を作り心理学者等の支援も得て、治療した心理療法家を「偽りの記憶」を娘に植え付けたとして逆告訴し、今は心理療法家側が負けつつある。日本ではまだ「偽りの記憶」の話は聞かないが、拒食症などの治療を受けた精神科医の影響から「私をこんなにしたのはアンタの育て方のせいだ」と親を非難して親子関係が壊滅状態になる例が出ている。大平健氏は少なくともアメリカの事例を日本に本格的に紹介した八幡洋氏の『危ない精神分析』(亜紀書房、2003)を読書案内で紹介すべきなのだ。他に、C.セーガン『人はなぜエセ科学に騙されるのか』(新潮文庫、2000)、S.ウォーカー『狂気と正気のさじ加減』(共立出版、1999)にも解説がある。ケーブルテレビ・ディスカバリーチャネルの番組『多重人格の困惑』は両者の立場をそのまま紹介していて秀逸だった。

 著者モロンの言いたいことも分からない。フロイトの初期の方法では「記憶と誤解される作り話に近いイメージを作り上げる傾向がある」ことは著者自身も認めている。フロイトはその後以前の考えを撤回し、事実か否かではなく「心理的現実」を問題にするようになったという。では、著者は「偽りの記憶」は心理療法家によって「作られた」と認めるのか?フロイトが否定した方法を心理療法家が使ったのが悪いというのか?モロンは答えない。本書を読むと、ひたすらフロイトに罪がかぶらないようにと、そればかりに執着しているようにみえる。

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2 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
岩波のポストモダン・ブックスの一冊。ブログなどで見かけようものならすぐさま読む気が失せてしまうくらい薄っぺらな言葉、「ポストモダン」。(そう括られがちな人たちの書くことが薄っぺらというわけではなくて、そんな言葉を出すことで何か言えそうな気になっている人が薄っぺらい。もう、ガキ使プロデューサー・ヘイポー並みに薄っぺら)。だからというわけではないのだろうけど、新書より薄い100ページほどのこの本、値段はなんと1500円。アホか。

その点はともかくとして、この本の内容としては、ウルズラ・ヌーバーという人の『〈傷つきやすい子ども〉という神話―トラウマを超えて』であるとか、ロフタス『抑圧された記憶の神話―偽りの性的虐待の記憶をめぐって』などの紹介によって、アメリカあたりで問題になってたらしい、カウンセリングや面接の現場で、セラピストの暗示や誘導が、ありもしなかった幼児期の性的虐待の記憶を作り出し、子が親を訴訟するだのなんだの、あちこちで騒動を引き起こしたってな件について、その騒動の元凶とも言われているフロイトの精神分析にほんとに、その責任があるのかどうかという考察を行っている。

フロイトからの引用がいろんなところからなされて事細かにフロイトの「トラウマ」や「抑圧」、「記憶」にたいする考えの後付けをするのだけど、「作られた記憶症候群」がフロイトに発する問題なのか、と言えば、以下の引用部分だけでも読めばとてもそんなことが言えるはずないということが分かるはず。

---以下引用---

結局のところ子供時代「からの」記憶などというものがあるのだろうか、という疑問が生じるのももっともかもしれない。子供時代「に関する」記憶、それだけしか私たちにはないのかもしれない。子供時代の記憶は、私たちの子供時代を実際の通りに示しているのではなく、後になってその記憶が再生したときに子供時代がどう見えたかを示している。子供時代の記憶は、人がよく言うのとは違って、記憶が再生されるときに「浮かび上がってくる」のではない。子供時代の記憶はそのときに形成されるのだ。そして、多くの動機が、歴史的な正確さにはおかまいなしに、記憶そのものの選択だけでなく、それらの記憶の形成にも関わってくるのである。

(フロイト『隠蔽記憶について』1899)

---引用終わり---

フロイトは、記憶って過去におこった事実そのものを捉えているというわけじゃなく(歴史的正確さにはおかまいなしに)、そもそも「作られた」ものだと言ってるわけで、それって、よく考えてみれば当たり前の話でしょう。それが当たり前じゃなく、「症候群」などと言われて問題にはなるのは、「事実」そのような虐待があった、というようなことを言って親を相手に裁判を起こしてしまうという、記憶の、事実に対するおかまいなしさ、を都合よく無視した、ある種の「信仰」に基づいた薄っぺらな人の勘違いが元凶にあるということ。で、その「信仰」の中身というのが、フロイトもろくに読まずに、通俗的に流通している「症状の裏にある幼児虐待の事実」という紋切り型だったりするわけだ。

解説を書いている大庭健氏も書いている。

---以下引用---

さて、本書のテーマとなっている「作られた記憶症候群」だが、これはフロイトの思想が人々の生活の中で通俗化されたもろもろの形のうちで、例のアダルト・チルドレンとならんで、もっともたちの悪い現象のひとつと言えるだろう。もちろん当の患者たちはこれを正しい記憶だと主張するわけだが、彼らの言う「幼児期に父親から受けた性的虐待」は、決まって、まともな訓練を受けていない「セラピスト」の「診療室」の中で「想起」されるわけで、本書で著者がフロイトの考え方の展開を追いながら解説することで示しているように、この「症候群」はフロイトの試行錯誤の、錯誤の部分から派生している。

じつは、そういう指摘はもうくり返しなされていて、しかし、恐ろしいことに、たいていの「セラピスト」たちはそういう批判にはまるで耳を貸さないし、批判されてからフロイトを読んでみる数少ない者にしたところで、フロイトの自己訂正こそが誤りだった、フロイトは自分の発見の恐ろしさから目をそむけて理論をねじ曲げた、と妙な居直りかたをするのである。

他方、多くの精神科ないし心理学の専門家たちが、こういう「症候群」の出現を機に、これまたろくにフロイトを読みもしないで、フロイトは「非科学的」だったと中傷するわけで、イギリス人の著者が本書の冒頭で、その手の大家たちをわざわざ紹介しているのは、あるいは、自分の不見識をよそに他人を論じがちな今のアメリカ人たちの悪い癖を遠まわしに皮肉っているのかも知れない。

いや、精神分析を信じていたときですらアメリカ人たちは、フロイトの著書をまともに読みはしなかった。精神分析医でもない限り、おおかたの知識人たちが読んでいたのは、フロイトの弟子たちの手になる分かりやすい解説書ばかりだった・・・・

---引用終わり---

私も、フロイトに関しては「夢判断」も「精神分析入門」も通読できているわけではなく、最近、新訳による全集も出始めているものの一部や、ちくま学芸文庫に入っているいくつかの論文を読んでいるくらいなので、そう大口をたたけるわけでもないのだけれど、多少、精神分析について興味を持って学んだ人なら、フロイトが「心的現実」といって、単なる「現実」とはまた違った現実について語っていることくらいすぐにわかりそうなもんだと思うし、そうすりゃ、「心」なんてややっこしいものを「科学」が扱いあぐねていることにだって、すぐに思い至って、簡単に「非科学的」だ、などという中傷もできんと思うし、「非科学的」であることが即無価値、という話にはならんのだと思うのだけど、そういう曖昧な在り方のまま変に権威をもった言説になっちゃったことで、誰からも叩きやすい対象になってるんでしょうね、フロイトって。
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