タイトルと二人の著者名だけで購入しておいたものでしたが、この掘り出し物は大当たりでした!!
導入部ではお二人のフロイト、ユングとの出会いなどが披露されており、お見合いのような(?)雰囲気の中で小此木先生と河合先生の対談は始まり、前半部では、そこからフロイト、ユングの二人の関係はもちろん、両者の同性/異性関係、ユダヤ人問題との関係、現存在分析(ビンスワンガー〜メダルト・ボス)との関係などが取り上げられているのですが、二人を並べて見ることにより、片方だけ見ていても見えない側面がぼんやりと浮かび上がってくる感じです。
とは言え、本書のハイライトは、フロイトの精神分析学とユングの分析心理学の相違の確認、擦り合わせから、両著者の臨床経験をも踏まえた遣り取り、さらには日本文化論まで語られる後半にあると思います。
フロイトが主に神経症を対象としていたのに対し、ユングが分裂病を主対象にしていたという(もしかしたら基本中の基本??)お話や、発達論が弱いと批判されるらしいユングは寧ろ中年以降の内的な発達論なるものを考えていたというお話、アクティング・アウト〜プレイへというお話、個人史的な転移vs元型的な転移のお話、などなど興味が尽きません。
最終部の母性vs父性を軸にした文化社会論も、古沢平作先生の慧眼〜治療契約論・構造論の繋がりのお話も含め、大変印象深かった反面、レベルの低い評者としては途方にくれてしまった感も正直ありました。
対談ものという性質上、精緻な議論は欠けているかもしれませんが、末席ながら精神分析を学ぶ評者には、大きな示唆を与えてくれたのは間違いないため、★5つとしました。