初作ということだが、新鮮な書きぶりです。まず普通の人は見たことも味わったこともない珍しい果物に対する説明と描写が続く。それは読者の五感と本能(食欲だけでない)を徹底的に刺激する著者の作戦であろうが成功している。次に現在は一般的になっているフルーツの波乱万丈の歴史でこれも非常に勉強になる。そしてここでフルーツハンターたちのちょっと異常な生態(?)の紹介が延々と続く。少し飽きてきたかなと思うとき、後半のフルーツビジネスの凄まじさに移る。いきなり暗転である。美味なフルーツの背後に隠された恐ろしい毒であるがそれは全くフルーツの責任ではない。ここは少し暗澹とさせられる。それを救っているのは著書の軽妙な語り口(翻訳も適切です)と著者のある種の世俗性でしょう。面白い観点からの面白い本です。