モノクロと思った月面写真上の色・・、生命のない世界に人間の存在を示すコラージュのようにも思える写真も収録されて1999年に発行された大型本(30x29.5x2.5cm)の新装版が本書です。寸法比は液晶テレビの37型と26型に相当しますので悩ましいですが、A4判の短手方向の寸法とほぼ同じため、所蔵スペースに制限のある方には勧められます。
本書(1999年版)の登場前、月の写真集は小尾信彌訳著「月写真集」(1978、朝倉書店)のみでした。この本のグラビア印刷による写真のクオリティは中判カメラで撮影していることを知っていましたので、欲求不満を感じるものでした。そして本書を手にし、「これが見たかったんだ」と心の中で叫んでしまいました。
本書は写真の部(サターンロケットの打ち上げから地球への帰還まで、写真を順番に並べることで描いたもの。キャプションなし)、「アポロ計画ミッションデータ」、Andrew Chaikin("A Man on the Moon"(1994)の著者)による「最果ての地」と題したアポロミッションと宇宙飛行士に関する解説、Michael Lightによる「月の素顔」と題した本写真集の制作に関する解説、そして「本書の写真について」として写真の部で示した各写真の解説文で構成されます。アポロ計画について馴染みのない方は、逸る気持ちを抑えて写真の部を見るのは後回しにし、「月の素顔」、「写真本書の写真について」を読んでから、写真の部に戻って見ることを勧めます。ひとつひとつの写真の意味が伝わってくると思います。
なお、レビュー者はアポロ計画について予備知識があるため、写真の部からページを開き始めましたが、ジェミニ計画での宇宙遊泳の写真には戸惑いを覚えました。(この写真が使われた理由は「本書の写真について」で書かれていますが・・。)