この作品はひとりの青年が一発の完全被甲弾(フルメタル・ジャケット)へと完成していく過程を描いたものです。戦争という場所ではなく、システムを表現しているところに独自性があり、普通の戦争映画とは同じフィールドには立っていません。作品内には安易な反戦主張に対する反感もにじみでており、とても20年前に創られたものとは思えない素晴らしさです。新兵訓練を描いた前半とベトナムの戦場(ありがちなジャングルの最前線ではなく、戦地で情報を集め新聞を作る部署に配属された兵士が他部隊の小隊に加わるという設定)を描く後半があり、後半の迫力は前半には劣りますが最後の行軍シーンでは一変し、後半の話はすべてがその1シーンのためだったと思えるほどです。キューブリック監督の作品の中でも特にインパクトと主張の激しい一本。