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フルトヴェングラー家の人々――あるドイツ人家族の歴史
 
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フルトヴェングラー家の人々――あるドイツ人家族の歴史 [単行本]

エバーハルト・シュトラウプ , 岩淵 達治 , 藤倉 孚子 , 岩井 智子
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 3,990 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

20世紀前半を代表する大指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラー。彼を生んだフルトヴェングラー家の人々は、古典的教養を獲得した自由な市民であり、ゲーテとシラーを理想とする「ドイツ教養主義」を体現していた。五世代二百年に亘る家族の人々とその時代を描きつつ、「市民社会」が衰退から滅亡にいたる道筋をたどる。

内容(「BOOK」データベースより)

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(一八八六‐一九五四)は、二〇世紀前半を代表する指揮者として、現在でもなお高い人気を誇る。しかし一方で、彼はナチス政権獲得から第二次世界大戦後まで、「政治と芸術」の関係に翻弄される運命を受け入れざるを得なかった。本書は、指揮者の父で著名な考古学者であるアドルフをはじめ、フルトヴェングラー家の人々の多くが、古典的教養を獲得した自由な市民であり、ゲーテとシラーによって構想された「ドイツ教養主義」を体現しようとした点に着目する。そして、カリスマ的指揮者フルトヴェングラーを生んだドイツ教養主義の展開と、その背景となった「市民社会」が、二度の世界大戦によって衰退から滅亡にいたる道筋をたどる、野心的著作である。

登録情報

  • 単行本: 360ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2011/5/28)
  • ISBN-10: 4000246623
  • ISBN-13: 978-4000246620
  • 発売日: 2011/5/28
  • 商品の寸法: 19 x 12.8 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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By ネモ トップ100レビュアー
内容のほとんどは、指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの評伝といえる。「序章」「第1章」「第2章」こそ、祖父・父について書かれているが、第3章以降は、指揮者のヴィルヘルム(祖父も同名だが、このレビューでは祖父については名を使わない)を中心とした記述である。祖父・父にかかわる部分は全体の4分の1程度。もちろん、ヴィルヘルムにかかわる部分では、当然ながら父や母も含めた家族が登場するので、書名が完全におかしいとまでは言えない。

「序章」から「第2章」までは読むのに難渋する。19世紀末から20世紀初頭の「ドイツ教養主義」に染め上げられたドイツ人の生き方・考え方さながらに、堅苦しさが文章全体に満ち満ちている。
それでも、ヴィルヘルムが指揮者として注目を集めるあたりからは、かなり読みやすくなる。女性との付き合い、トスカニーニやカラヤンに対する“競争心”“敵愾心”なども描かれる。ナチスとの関係及び戦後の「非ナチ化」裁判での釈明を見る限り、ある種の“狡猾”さを感じてしまう。
「終章」では、再びフルトヴェングラー家とドイツの「市民社会」との関連が論じられている。

ヴィルヘルム・フルトヴェングラーにかかわる他の本をほとんど読んだことがないので、本書の記述を詳細に云々はできないが、彼のバックボーンとなった時代背景や思潮、彼の人となりについてはよく理解できた。

原題・邦題ともに、トーマス・マンの『ブッデンブローク家の人々―ある一家の没落』を意識したものだろう。トーマスの生年は1875年、ヴィルヘルムの生年は1886年である。
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言うまでもなくフルトヴェングラーとは二十世紀前半を代表する大指揮者のこと。特に日本での人気が高く、カリスマ的な崇拝を受けている。

彼の家系をたどると、農民から身を起こしギムナジウムの校長となった曾祖父に始まり、古典文献学者の祖父、考古学者の父と続き、あるいは母方のほうも学者や芸術家だらけ。産業革命後に勃興し、古典的教養を尊び人文的自由を信奉する、典型的なドイツ市民階級(ブルジョアジー)の家系だった。

著者によれば、こういう市民社会の人々の理想は「大学人」。大学教授というのは、社会的にも豊かで尊崇の的だった。政治とは一定の距離を置くが、しかし、権力といらぬ軋轢を生めば地位を追われるという弱みもある。こうしたドイツ教養主義の市民社会は、ふたつの大戦とナチズムの台頭・破滅を通じて、衰退し没落した。

こういう社会史的な視点から、フルトヴェングラーの家系と彼の生涯をたどる本書は、いささかこの大指揮者に辛辣で手厳しい。

本書は、フルトヴェングラーがドイツの典型的な市民階級(ブルジョアジー)を体現しているという。

創造的教養人である作曲家を目指し、死ぬまで作曲家を自称した。指揮者(カペルマイスター)というのは職人階級であって、彼にとっては生きる方便に過ぎなかった。

大学から名誉称号として授与された「博士」をいつも名乗っていた。

ナチズムとは距離を置いたが、脅されるとすぐに妥協した。

欧米での人気は日本ほどではなく、本国ドイツでさえフルトヴェングラーといえば、まず思い浮かべられるのは、ご本人を差し置いて姪の娘である人気TV女優のマリアだそうだ。だから、日本でのマニアックな人気は突出していると言える。いまや大学教授は没落する一方なのに、勉学好きな日本の教養主義は現代も旺盛で、すそ野が広いということなのだろうか。

それにしてもこの本は読みにくい。本書自身がまさにドイツ教養主義そのもので、博覧強記なうえに皮肉とも逆説ともつかぬねじ曲がった文章だらけで意味を読み取るのに散々苦労した。訳者もさぞかし苦労したことだろう。
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