今までいろいろなフルシチョフ本を読んできましたが、彼の共産主義に対するスタンスは本書最終章によく出ています。痛快なスターリン批判、もよいのですが、あれはやはりマルキシズムの公式から逃れられなかった感じがします。当時のフルシチョフの立場が立場ですし、やはりソヴィエト・マルキシズムの公式論から逃れられていない感じが強かったです。
本書は違います。本書の最終章では、フルシチョフはユーロコミュニズムへの近接を図ろうとさえしています。議会で勝利した共産党はいまだかつてない、と嘆きながら。やはりこの人は共産主義をただそうとしていたのですね。
KGBとフルシチョフの複雑な関係を踏まえると、こうした見解は面白く感じられますね。フルシチョフ改革を生かそうとしたのがKGBなのですから。本書と、ヤルゼルスキの「ポーランドを生きる」を併読されることをおすすめします。