本書で言う「フリーライダー」とは「大した仕事はしてないのに給料だけは貰っている人」みたいな社員のこと。著者らは多くの企業へのインタビューで明らかになった現実のフリーライダーを4つの類型に分類している。この問題に関する理論研究の概念的枠組みをザッと見た上で、4類型それぞれに対する「組織として採るべき対策」について議論し、自らもフリーライダーとならないために「個々人が採るべき行動指針」についても触れ、本書は終わる。
著者の2人も執筆陣に名を連ねていたベストセラー『不機嫌な職場』(高橋・河合・永田・渡部(著) 2008年 講談社)もそうだったが、彼らが論じているのは本質的には組織経営・運営について。それを誰もが経験する現場の問題として取り上げている。
前著に比べて、「組織として採るべき対策」と「個人としての行動指針」を別々に示したのは良かったと思う。前著では、両者の理論的な関連が曖昧だったし、そこで挙げられていた「組織的な対策」にも「個人的な対策」にも背後に貫かれているはずの原理・原則が見えてこず、議論に力強さを感じられなかった。本書で示されている対策には、理論的な裏づけもあるし、原理・原則が明確で説得力がある。
これもまた前著にも感じたことなのだが、非常に中途半端な本だと思う。ただ、それは著者らの真剣さの表れなのかなぁとも思う。何でそうなっちゃったのかと考えてみれば、おそらく著者らが現場で起きている問題を(学者さん的に)「面白がっている」というより、本当に心を痛めているからなのだろう。「このままじゃマズいんじゃないか?」という危機感に衝き動かされて、しかし深刻に警鐘を鳴らすというコンセプトではなく、一歩一歩問題を解決していきましょう、という本を書くと…、こういう本になるのかなぁ、とそういう印象。スマートさを捨てた…、そこに一種の誠実さのようなものを感じた。