本書の著者は、米上院議員の経済政策担当補佐官、労働長官の補佐官、副大統領の首席スピーチライターを務めたのち、フリーエージェントになった経験の持ち主。フリーエージェントの実態調査をといったミクロな視点と、フリーエージェントが社会に与えるインパクトといったマクロな視点からの議論がほどよくミックスされ、社会の大きな潮流をとらえた論述となっている。
「いまの仕事が永続するなどと言える人はどこにもいない。誰もが『臨時』労働者なのだ」というとおり、現代の環境においては、企業に人生すべてを賭けることは難しい。しかし、日々問題にぶつかりながらも、自分らしい働き方を模索しているフリーエージェントたちの「証言」は、本書を生き生きと彩っている。また、成功しているフリーエージェントだけではなく、万年臨時社員として不当に搾取されている層についての論述も詳しい。
日本では、社会のフリーエージェント化に関しては、アメリカに大きく遅れをとっている。しかし、正社員にならない働き方に対する関心は高まりを見せており、一部の業界では、すでにフリーエージェント社会になっている。本書の第5部で描かれているような未来の社会が実現するのも、そう遠い話ではないのかもしれない。(朝倉真弓)
終身雇用で社員を雇うのは企業にとってリスクだが、逆に1つの会社に自分の人生を捧げるのは個人にとってもリスクである。とりわけ企業の平均寿命が短くなっている状況では、いくつもの企業と契約を結ぶリスクヘッジが不可欠と著者は書く。日本の多くの企業が「終身雇用」の暖簾を下ろし大幅な人員削減を厭わなくなった中で、日本でもフリーエージェント社会の到来は間近なのかもしれない。
(日経ビジネス 2002/06/10 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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72 人中、70人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
今の私の生き方を応援してくれた一冊!,
By seco (新潟県上越市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか (単行本)
私は2年前障害者になった32歳(女)である。現在soho環境でメールマガジンの編集を主に行なって給料をもらっている。自分の強みを活かした仕事を数社あるいは数人と契約し生活を送っていくにはどうしたらいいか、ずっと頭の中でもやもやしていた。この本を読んだらその答えが書いてあった。知人でSOHO生活を送っている人はまだいない。そんな私に『今の君の生き方は間違っていない!むしろ応援するよ、アメリカには君のような人がたくさんいるんだ、その事実を僕の言葉で伝えよう』という著者の足で集めたフリーエージェントのためのアドバイスがちりばめられている。自分サイズのライフスタイルを送りたいと思っている人にオススメの一冊!
32 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
今まさに起こりつつ変化,
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レビュー対象商品: フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか (単行本)
大変すばらしいく鋭い分析がなされた書物であった。アメリカ社会を対象にした分析論であるが、日本でも今まさに起こりつつある話であると思う。 組織に忠実な「オーガニゼーションマン(組織人間)」の時代から組織に縛られず独立して働く「フリーエージェント」が急増しており、アメリカでは全労働者の4人に1人がすでにフリーエージェントであるという。 フリーエージェント時代のビジネスのあり方についての記述が最も知りたいことであるが、本書の結論は特定のプロジェクトのための適材適所のための人材を集められるプロジェクトマネージャが従来の管理職にとって変わってくると言っている。 内容については、自分が普段している仕事の中でゆっくりだが着実に訪れてきている変化に合致していると思う。それでも、依然として従来型の大企業がまだまだ市場を支配している現状を気にしつつも、本書の著者の主張をがっちりと受け止めたいと思う。記述も、翻訳も大変ユニークで本当に楽しく読める。
44 人中、42人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
もっと力強く生きよう,
By eternal_glory (茨城県つくば市) - レビューをすべて見る この本では、会社に属さず自立して仕事をこなす人間像が描写される。組織に属し、組織への忠誠に基礎を置く縦ではなく、横へと張り巡らされた個人的ネットワークで仕事をする。その絆の根本にあるのは、「信頼」。信頼を基礎に、個人が単位としてつながりを形成する。個人は自由と自分らしさを保ちながら、仕事に責任を持つ。そして成功は、各人で定義する。だから、画一的な成功モデルは意味が無い。教育を受ける必要さえ、個人で決めたら良い。今でもフリーランサーとして生きる人もいるが、より多くの人が同様の形態で仕事をする社会を描いている。アメリカでは既に、組織に属さずに仕事をする人が増えているらしい。 もう人が決めた価値観で生きるのは止めよう。自立し、自分で決めた考えに沿って生きるのだ。勝ち組と呼ばれ、贅沢に暮らせば満足なのか?僕はそう思わなくなった。自分で決めて生きないと、死ぬときに後悔する。そんな人々にとっての、仕事を中心とした生き方のガイドである。参考になる。 2001年に書かれた本であるが、日本ではマスコミの論調は未だに20世紀を引きずっている。生まれてからずっとそんな考えに浸かってきた世代にとっては、生き難くても、それ以外の方法に気付けないのかもしれない。だったら、この本が、新たな社会との関係を気付かせてくれる契機になる。もっと読まれ良い本だ。
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