内容紹介
私の「フラーとカウフマンの世界」は、生きた時代も活躍した分野も一見全く異なるこれら2人の発想の中に見事に一致する、極めて深遠な内容があるという「驚くべき」発見を説明するために書いた。私は最初シナジーやシナジェティクスの意味を科学者の言葉に翻訳することを試みた。というのも、フラーの創始した多くの概念は神秘的かつエッセイ風に語られているために、普通の人が読めばおよそその意味を理解することすら難しく、ともすれば単なるフィクションとすら見なされかねない代物だからである。にもかかわらず、フラーの神髄を少しずつ理解していくと、それが現在「複雑系理論」分野におけるカウフマンの発想と実に良く似ていることに私は気付いた。
しかし、その見方はちょうど裏腹であった。カウフマンが「複雑」と考え、「複雑系理論」の発露となった弱肉強食の混沌な世界は、フラーにとっては宇宙ともに一体となった完全調和が保たれる「完全統合」の世界として見えたのである。「完全統合系」と「複雑系」のこの奇妙な裏腹の関係、双対性(デュアリティー)を私は発見した。そしてフラーとカウフマンの生きざまを知るうちに、それもまた裏腹であったことに私は心打たれたのである。この不思議な世界への入り口を人々に紹介するのが本書の目的である。どこまで私の真意が伝わったかは読者の判断に委ねる他はない。