CDが2枚も!ついていることから分かるように、ふんだんに録音された会話表現を聞きながらフランス語を身につけることを目指す本です。特に面白いのは、そういった会話主体の構成が割合ほかでもよく見られる「シーン別会話」、例えば、お店での買い物やレストランでの注文など一種の決まり文句的な表現が要求される会話だけではなく、疑問文の作り方や所有形容詞の使い方といったフランス語の基本文法も「基本の表現」として会話表現から学ぶ構成になっていることです。ただ、そのような構成のため、文法の説明は極力必要事項のみに絞り込まれているので、独習という形でフランス語を初めて学ぶ場合には少し使いづらいかもしれません。この本は、先にほかの本で基本の文法を押さえた上で、実践的な表現力、さらに具体的に言えば、発音力を高めるために活用するととても効果的ではないかと思います。実際、各課、最初に紹介されている「基本の表現」で重要な母音や子音を1つ(必要に応じて2つ)取り上げてCDを聞きながら集中的に練習できるように構成されているほか、フランス語を使いこなすための基本として特に重要な動詞の活用もCDを使って丸暗記をすることを促すべくほぼ毎課ごとに掲載されています。しかも、その動詞の活用については、必要に応じて肯定形と否定形が紹介されたり、現在形と過去形が紹介されたりしていて、暗記から実践へと導く工夫が感じられます。ちなみに、個人的には、同じく課ごとに掲載されている「使えるフレーズ」が有り難く、自分が今まであまり使ったことのない言い回しをできるかぎり覚えようと思っているところです。少し残念なのは、後半の「シーン別会話」かもしれません。これは、私も以前フランスに留学する際にお世話になった名著『フランス人が日本人によく聞く100の質問』を彷彿させる部分ですが、その本ほど多岐にわたったテーマが扱えない分、若干、テーマに関して脈絡がない印象を受けざるを得ません。とは言え、この本には、中学・高校時代に使用した参考書や問題集でよく目にした、いわゆる「赤シート」がついていて、繰り返し聞き取りや書き取りの練習をするのに活用できるようになっています。CD2枚で、この作りで、このお値段!本当にお得な1冊です。