『イギリス名詩選』、『ドイツ名詩選』、『アメリカ名詩選』と共にシリーズ化されている本詩集を、『イギリス名詩選』の後に読んでみたのですが、フランスの詩の特徴を堪能すると共に、イギリスのそれと比較することもまた楽しいものでした。
ヴィクトル・ユゴー、シャルル・ボードレール、ステファヌ・マラルメ、ジャック・プレヴェールといった著名な詩人の作品はもちろん、比較的知られていないルイ王朝下の詩も収められており、フランスの詩の特徴とその歴史的流れを把握するためには、適当な詩集ではないでしょうか。
フランスにおける詩は、イギリスにおけるそれと異なり、文学において独立したジャンルとして確立されているように思われます。また、イギリスの詩においては、外界の事物や事象と心象との混交が多く見られますが、フランスのそれにおいては、心象を詠うことに重点が置かれているように見受けられます。
個人的に興味深かったのは、ヴィクトル・ユゴー、ステファヌ・マラルメの作品でした。「文豪」と称されることが多いユゴーの詩は、一見彼の小説との差異を見せているようですが、彼の小説の根底に流れているものが明確に現れているように思えます。また、難解と思われがちなマラルメですが、ここに収められている彼の詩にはそういったところは見られず、抒情詩としても充分に楽しむことができます。
惜しむらくは、フランス革命(1789年)以前の、ルイ王朝時代の詩が13編しか収められていないことです。王朝下ならではの無邪気な叙情性と奔放さが同居したバラッドがより多く収められていれば、更に興味深い詩集となったのではないでしょうか。私には原文を読解するだけの語学力がありませんでしたので、読める範囲内で朗読したのみですが、フランスの詩に特徴的なリズムと脚韻は心地よいものでした。