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フランス・ルネサンスの人々 (岩波文庫)
 
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フランス・ルネサンスの人々 (岩波文庫) [文庫]

渡辺 一夫
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

フランス・ルネサンスは人間の解放と共に暗澹たる宗教戦争を経なければならなかった。著者(1901-75)は、激動期を苦悩しつつ生きた地位も職業も異なる12人の生涯を辿る。本書にこめられた著者のメッセージは「常に自由検討の精神を働かせて根本の精神をたずね続ける」というに他ならない。(解題 清水徹/解説 大江健三郎)

内容(「BOOK」データベースより)

フランス・ルネサンス(16世紀)は人間の解放とともに暗澹たる宗教戦争を経なければならなかった。著者は、激動期を苦悩しつつ生きた、地位も職業も異なる12人の生涯をたどる。

登録情報

  • 文庫: 377ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1992/1/16)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4003318811
  • ISBN-13: 978-4003318812
  • 発売日: 1992/1/16
  • 商品の寸法: 15.2 x 11.2 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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By mozartfan トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
 渡辺一夫は東京大学で講義をする前にはほとんど徹夜で講義ノートを作っていました。常に新たな文献を渉猟し、講義ノートを更新していたのです。ところが、教室には学生がほとんどいませんでした。講義を選択する者は少なくはなかったのですが、学生は渡辺一夫の訓古学のような講義を聴講する意欲が無かったのです。ニ、三人しか学生のいない教室で渡辺一夫は静かに講義を続けました。学生のなかには渡辺の講義を聞きたくて他の大学から教室にもぐりこんでいたニセ東大生もいました。ある日、渡辺は「ぼくの講義はもっとたくさんの学生が取っているはずなんですが、面白くないですか」と学生に問いかけました。ニセ東大生はどぎまぎして、「いえ、そんなことはないです」と答えました。渡辺はその後、静かに講義を続けたそうです。
 その渡辺一夫が狂気の吹き荒れたフランス・ルネサンス時代、激動の時代を生きた人々を語った列伝形式の本書は私の高校時代からの愛読書でした。日本を戦争に駆り立てた時代の狂気を渡辺は静かに告発しています。人間は狂気にとりつかれることがある。特にキリスト教を堕落させた教会を告発したカルヴァンが粛清者となる悲劇は人間性に対する認識を深めます。国民必読の本のひとつです。品切れなんて、とんでもない。2010年7月復刊されました。未読の方はこの機会に是非。
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形式:文庫|Amazonが確認した購入
東大仏文には辰野・渡辺という偉い先生がいた、ということは聞いていた。が、一・ニ世代前の方たちなので著作に触れることはなかった。偶然本書を読んだ。そして魅了された。僕たちは16世紀ルネッサンス時代のフランスの一体何を知っているというのか、何も知らない。が、ここにこの時代をこれ程深く研究し、共感を込めて語ってくれる専門家がいる。有難いことだ。

多分僕らはイタリア・ルネッサンスの華麗な絵画・彫刻・建築に長年親しんできたせいであろう、ルネッサンス時代といえば単純に明るいものをイメージしがちだ。しかしアルプスを越えたドイツやフランスではどうも話は異なるようである。そこではのっぴきならぬ深刻な宗教対立が中世人に襲いかかっていた。

1517年、ルッターがローマ教会(旧教会)への総攻撃の狼煙をあげ、フランスではカルバンがそれに続き、やがてスイスのジュネーヴをヨーロッパのプロテスタンティズムの牙城とする。新・旧両教会の抗争は度重なる流血事件、異端審判、焚書、火あぶり処刑を生んだ。極め付きが72年の「聖バーソロミューの大虐殺」。パリにいた新教徒の貴族平民老幼男女3千が虐殺され、この非道な殺戮はオレルヤン、ルーワン、リヨン,トゥルゥーズ各都市にも波及した。カトリック教会はこうした動きを何ら阻止することもできなかったばかりか、この大虐殺のニュースがローマに伝わるや、時の教皇グレゴリウスは、サン・タンジェロ宮から祝砲を撃たせ喜んだという。

こうした剣呑な時代、人々はどう生き、身を処したのか。著者はアンリ四世、大法官ロピタル、学者、外科医、出版人、陶工、宗教指導者カルバン、彼に追放されるカステリヨン、教皇の遊撃隊「イエズス会」を組織したイグナチウス・ロヨラそして占星師ノストラダムスを取り上げ興味あふれる彼らの生涯を物語ってくれる。面白くないわけがない。

底に流れるのは、(1)不寛容が狂気を生み、それが新たな狂気の連鎖を生んでいく人間社会の悲(喜)劇に対する著者の憐れみのまなざし、(2)そうであるからこそ歪んだ物を懐疑し、批判する精神、異端思想もとらわれずに自由検討する精神、真理と寛容を尊ぶ温厚・明朗な精神、これらをエラスムスやラブレーが実践したユマニスムから学び取ることが大切なのだという著者の熱い思い、である。

二読、三読する価値のある名著。
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形式:文庫|Amazonが確認した購入
手元にある92年発行の文庫版初版は、もういたるところが擦り切れてボロボロになっています。何度読んでも新たな発見がある本だと思います。

日本人が、「外国」の、それも「大昔」のことなんて勉強していったいどうなるの?というような批判、僕自身も、耳にタコができるほど言われてきました。簡単に言えば、渡辺一夫先生のこの本は、そのような批判をする人にこそ読んでいただきたいのです。

 
【パリッシーは、神学や哲学を論じはしませんでしたが、正しいものと信じたればこそ、いずれ新教を奉ずるに至るのでしょうし、他人ができる以上自分にもできるはずと考えたればこそ、あらゆる苦心をして陶器の製作に従事し成功したのでしょうし、間違いだらけの自然科学的知識が横行しているのはいけないと考えたればこそ、有名な公開講演も行うことになったのでしょう。そして、その一筋の道の果てには牢死があったのでした。無辜の民とは、こういう人だけに与えられる名称にしてほしいものです。】(「ある陶工の話」p.87)

【ポステルはシャルル9世に向かって、「私はフランスからシナまで通弁なしに行けます」と豪語したと伝えられています。これはポステルの博学を証拠立ててもしましょうが、更に別なものをも証拠立てます。すなわち、言葉という人間にあたえられた尊い宝を通じて、いかなる異民族のいかなる異なった思想の異国民に対しても、人間への信頼をもって接し、知識の力によってあらゆる誤解を解決しうるという強い自信がポステルにあったということです。】(「ある東洋学者の話」p.182)

【その後フランスは、政治問題や階級問題や私利私欲やらが絡みついた血みどろな宗教戦争にはいってゆきます。それから四百年後の今、神の名によって、人間同士の殺戮の口実を作る習慣は、徐々に薄らいできたように見えますし、これだけを見れば、「文明」の歩みも確実と申せるでしょう。しかし、人間圧殺の口実は、いくらでも作製できるのであり、次から次へと作られる口実が忘れ去られるには、《異端者》が何回となく蝋細工のように作られてゆき、贖罪記念碑もいくつとなく建てられるのが、いわゆる《現実》なのかもしれません。願わくば、我々の一人一人の心のなかに、それが長く、高く、堅固に建てられねばなりますまい。しかし、これは大変にむずかしいことらしいのです。】(「ある神学者の話(a)」p.222-3)

日本人が、「大昔」の「フランス」の人びとの感情のひだ、生きざまに深く深く入り込み、そこから日本あるいは世界の現状を見つめ直し、咀嚼し直し、自分の生き方を決定していった、その貴重な実例こそ本書であり、それを勉強する「意味」を示してくれます。何度読んでも勇気付けられる、価値ある一冊です。
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