1966年、日本最初の怪獣ブーム(昭和ジュラ紀と呼ぼう)のさなかに製作された東宝の名作。併映が手塚治虫のアニメ「ジャングル大帝」だったものだから他愛なく見に行った当時の幼児たちは、ガイラの姿にいまだトラウマを抱えているに違いない。監督の本多猪四郎はじめ製作陣は当初怪獣ブームなど想定しておらず、多くの子供が見に来るとは考えてもいなかったのだろう。わざわざ米国俳優ラス・タンブリン(ウエストサイド物語)を招いての力の入れよう。この誤算が当時の他社の怪獣映画を引き離し今も語られる作品にした。
前半はオープニングの東宝のマークのBGMからして怪奇ムード。中盤は新兵器・殺獣光線車(東宝特撮マニアには愛好のメカの一つ)を打撃部隊とする橋本陸将補(田崎潤・断固フランケンシュタイン絶滅を主張する硬派を熱演)が指揮する自衛隊電撃作戦部隊とガイラの戦いというミリタリー調。これを伊福部昭の音楽(「メーザー光線車マーチ」として定番)が興奮の世界に仕立て上げていく。もがき這い回るガイラ、光線が触れた樹木はことごとくなぎ倒されていく…円谷英二の特撮のきめの細かさに注目。終盤はサンダとガイラの果てしない格闘になだれ込む。
「フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン」(1965年作)もトールケースで発売される。「サンダ対ガイラ」はその続編とされるが厳密には姉妹編である。前作を見ておいた方がなぜフランケンシュタインの怪物が日本に来たのかはっきりするけれど、各々独立の作品として見た方がよいと思う。