2008年グラミー賞主要5部門をゲットしたエイミワインハウスは、そのセカンドアルバム「バック・トゥー・ブラック」でR&B歌手の印象が強いが、ファーストアルバムである2003年の本作品「フランク」を聴けば、天才的なジャズシンガー(正確に言えばソウルジャズ)でもあると判明する。
彼女は、飲んだくれの上、奇行愚行の目立つお騒がせセレブらしいが、今の時代では、結局それで損していると思う。しかしもう世界の桧舞台に立ったのだ。
ジャズを新しい観点から研究している曲作りで、アルバムはとても一人の人間が作曲したとは思えない。詞は実に個性的で今風。でも音楽の基本をきっちり捕らえているので、聴き方によっては古い曲にも聞こえてしまう。
歌唱法もスキャットなどジャズの基本を押えている。誰に似ているかといえばカナダのジャズ歌手、ホリー・コールだろう。堂々としてドスの効いた通る低音。ホリー・コールは2000年ころの作品でビートルズの曲を採用してニュージャスに向かいいい感じだったが、最近は加齢のせいかスタンダードに回帰してしまっで残念と思っていたところだ。ある音楽評論家はホリーの歌を「キャバレー・ソング」と評していた。こう捕らえるとエイミーの活動が理解できる。
エイミーはシンガーソングライターで、何と19歳当時に本アルバムの曲を書いている。末長くジャズの世界でも才能を発揮するに違いない。本作品を★4にしたのはグラミー賞受賞の「バック・トゥー・ブラック」が★5だからで、飽きのこないアルバムはこちらのほうかもしれない。
◆追悼◆エイミーは2011年7月23日に27歳の若さで他界、伝説の歌手となってしまいました。