日本ではあまり知られていないようですが、
知る人ぞ知るアイルランドの作家、フランク・オコナーの短篇集です。
いみじくもイェーツが「アイルランドのチェーホフ」と呼んだだけあって、
О・ヘンリーやモームのように派手なオチやドンデン返しは少ないのですが、
ユーモアを軽妙に織り交ぜた静謐な筆致による作品が揃っています。
作品全体に流れるミステリアスな雰囲気はそのことに起因するのかもしれません。
どの作品も話の筋を追いかけていくだけで十分楽しめますが、
中でも私がおすすめするのは『国賓』です。
この作品は日本でも早くから紹介があったというだけあって、
オコナーの代表作といってよいほどの出来ではないでしょうか。
「そのあとの人生は、僕にとってはまったく別のものになってしまったのだった」
という最後のくだりは、何とも背筋が凍てつくような感動を覚えますよ。