フランクル心理学の基本から、ロゴセラピーにおける適応まで、手に取るようにわかります。
また、1997年時点での、フランクルの主要文献の
概要が40ページにわたり記してあり、自宅にあるフランクルの書物の
内容を思い出したり、これから購入する本を選択する参考にもなります。
自分にとっては、ロゴセラピーについて、理屈ではわかっても、実際はどう
やり取りしているのかよくわからなかったのですが、本書は
具体的に懇切丁寧に記してあり、読んでいて自分がクライアントになって
セラピーを受けているような感じになれました。
ご存知のとおり、「創造価値」「体験価値」「態度価値」との
兼ね合いの中で、「私たちが人生に何を期待するかではなく、人生が私たちに
何を期待しているか」という文脈の中で、
ロゴセラピストは、クライエントに例えば、次のように問うのだそうです。
「誰かあなたを必要としている人はいませんか」
「何かあなたのなすべきことはありませんか」(他の問いかけは省略)207ページ
喪失の深い落ち込みや抑うつの中で、また、
みじめさや悲しさ、どうせいつかは死んでしまうこの身という
はかない人生の無意味さを味わう中で、「態度価値」などに
目覚めることを手助けするのだそうです。(詳細は本書)
「逆説指向(恐れていることをあえて欲してみる)」や
「反省除去(苦悩を見つめないでするべきことをやってゆく)」については、
フランクルの多様な著書の中から代表的なエピソードを挙げて、
わかりやすい文章で説明がなされていて、内容は一気に消化できませんが、
ストレスを感じることなく、スラスラと理解できます。
ただし、著者によると、ロゴセラピーの
「逆説指向」の手法は、一種の荒療治であり、
特に「うつ病」の患者さんに使うことは厳禁と記されていますので、
その点は明記させていただきます。
フランクルのそれぞれの書物から紹介されている
(感動的な)やり取り(臨床例)は、やや出来過ぎの感はありますが、
フランクルの思想を印象付けるうえでは効果的です。
諸富祥彦さんの執念(こだわり)を随所に感じますが、
それはさておき、山田邦男さんの「フランクルを学ぶ人のために」や、
斉藤啓一さんの「フランクルに学ぶ」も良い本ですが、
私としては、本書はとにかくわかりやすい、体系的で、
説明だけではなく読者に迫るメッセージ性のある突っ込んだ
本として、フランクル解説本として、(諸富さんの他のフランクル関連本と比較しても)
まず一番に本書を推薦させていただきます。
また、本書を熟読した後は、専門家の方々は別として、
私のような素人が、原書と照らし合わせるためになど、
フランクル自身が書いた本を選ぶときも、無駄なく(効率的に)
購入でききるという意味でも、最初に持っていたほうが良いと思います。