私が初めてこのアルバムを聴いたのが高校生のときだったのですが、
とにかくあまりのポップ度の低さに衝撃を受け、しばらく聴くことは
ありませんでした。それくらい取っ付きにくいアルバムだったのです。
しかし、いつからか、“めちゃくちゃかっこいい!”と感じるように
なったのです。本当にその理由は分からないのですが,これほど
どきどきさせられるアルバムはそうはないと言い切れる、とにかく
エネルギーも緊張感も半端ないです。
まずは1曲目の『Four Enclosed Walls』でぶっとばされること
間違いなしです。重いビートに導かれて“アラー”と唱えるジョンの
ヴォーカルが入り、ドラムがリズムを刻み始めると、もうそのパワーたるや。
ジョンのヴォーカルは“歌う”というよりも、まさに“唱える”という
表現が適切なメロディもなにもないものなのですが、このヴォーカルと
ドラムのビートの相性が最高です。
続いて『Track 8』では少しギターが入ってきますが、リズム楽器として
考えられているプレイです。『Phenagen』では中東風のギターからジョンの
これまた呪術的なヴォーカルが入り、バックのリズムは鐘の音のようなおと、
そしてエフェクターがかかりまくったサウンドが流れ、混沌としていきます
。しかし、鼓動のようなドラムはそのリズムを崩すことはなく、クールな
要素を加えています。
そしてタイトル曲の『Flower of Romance』。なんとなく沸き上がる
イメージはアフリカを思わせるものがあります。ドラムの音色、リズムを
変えることで様々な景色を見せることに成功していることも、このアルバムの
凄さだと思います。
そして出だしからヘヴィー・メタルのような重いドラムが疾走する『Under
the House』!このリズムは超ド級の破壊力です。所々にはいるサウンド・
エフェクトが単調になりがちなリズムからいったん耳を離す効果を担っていて、
それらが入った後にはまた新鮮な気持ちで、この重いリズムに向かうことが
できます。
『Go Back』にはいるといよいよキース・レヴィンのギターが前に出てきます。
しかし、その音はメタリックでフリーキーで、キリキリと耳に突き刺さってきます。
そしてラストの『Francis Massacre』は民族音楽的なリズムに叫び声が所々に
入り、アフリカの原住民の祭りのような様相を呈しています。この曲はリズムの
壁に圧倒され、ただその空気に飲み込まれて終わってしまう。そんな恐ろしい
くらいのパワーをもった曲です。
トーキング・ヘッズは80年代にリズムの探求を繰り返しましたが、P.I.L.の
リズムへのこだわり、そしてNo New Yorkというようなメタリックで吹っ切れた
ギターなど、やはり80年代の音楽だなという印象は受けます。しかし、
それと同時に時代を超越した名盤であることも疑う余地がありません。
この作品を聴いているといないとでは、音楽というものに対する枠組みが
全く変わってくると思います。
Reviewed by ちょっと寄り道 [音楽の旅] http://sensun.blog83.fc2.com/