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17 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
真の「黄金」とは何か?,
By
レビュー対象商品: フライデーあるいは太平洋の冥界/黄金探索者 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-9) (単行本)
小説の魅力はプロットにだけあるのではない。小説を読む楽しみは手に汗握って頁を繰ることばかりではない。ル・クレジオの『黄金探索者』を読み、改めて気付かされた。(まだ『フライデー』の方は読んでいないのですが、フライングして書かずにはいられませんでした。)
『黄金探索者』の魅力は、何よりもひとつひとつの場面の喚起力にある。詩的で緻密な文章を噛みしめ、ただ海の香を吸い込み波のうねりに身をまかせる。夜の静寂に耳をすませ、清澄な星空に息を飲む。じっくり読むほどに魅惑的な、濃密な時空間が広がる。 そして、そうした瑞々しい描写に映し出される、主人公の失われゆくものへの深い愛惜の念(それが彼を探索に駆り立てずにはおかない)が、終始胸を打つ。 決して派手ではないが、豊饒な読書体験を約束する小説である。
5つ星のうち 4.0
海は、羨望のフィールド,
By しまったか! (沖縄県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: フライデーあるいは太平洋の冥界/黄金探索者 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-9) (単行本)
いずれも海を舞台にした冒険譚。
フライデー…の方は、ちょっと違うが、 海洋にて孤軍奮闘、クルーソーが生きるために知恵を絞る様は その艱難をまず棚に上げさせるほど、羨望を禁じることは難しかった。 物語の最終盤、数十年に及ぶ葛藤を乗り越えて、クルーソーはある状態に達する。 「彼を押し包む光が前日と前夜の致命的な汚れを彼から洗い落としていた。 焔の剣が彼の身内に入って、彼の全存在を貫いていた。」 何もない島で、クルーソーに訪れた変容とはどのようなものだったのか。 クルーソーは失ったことにより、何を得たのか。 是非、多くの人に始まりから結末まで通読を進めたいと思った。 黄金探索者の方は、タイトルだけで十分男心を惹きつけるではないか。 ただ、初めに言っておくと、これはかなり大人の小説だ。 少年時代の冒険心を思い起こさせるだけの、単純な物語ではない。 失った代償の大きさは、果たして黄金探索の後にあるや否や。 答えは読者個々人に委ねられている。 しかし、探索中の描写よりも、海と対峙する場面描写の方が、 長く、深く、美しい。本当の主人公は、やはり海なのだろう。 おまけとして、探索者の方の解説は、 本全集で今のところピカイチだ(現在21冊目)。 面白くてためになる。 この二作、いずれも経済的豊かさとは無縁の世界なのに、 なにゆえこうも我々を惹きつけるのだろう。 物質的には満ち足りた環境を まじまじと振り返させられる契機になった。
5 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ル・クレジオがいい,
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レビュー対象商品: フライデーあるいは太平洋の冥界/黄金探索者 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-9) (単行本)
世界文学全集の1冊。ともにフランスの作家。ル・クレジオはノーベル文学賞を受賞したということは知っていたが、トゥルニエはまったく知らなかった。
トゥルニエの方は、ロビンソン・クルーソーを主人公とした話。デュフォーの話は、子供のころに読んでいたが、うろ覚えで、新鮮だった。孤島に取り残されながら、 秩序を重んじる主人公がフライデーの登場にかく乱されていく過程が面白い。哲学的な話だ。 小説としては、ル・クレジオの方が好みかな。こちらも、南の島へと旅する若者を主人公として、未開の社会への憧憬が美しい文章で描かれている。
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