ピアニスト、フジコ・ヘミングの半生を描く、自伝。
一言でいうなら、たくさんの相反する要素が濃縮して注がれた、波乱万丈な人生。
父はスウェーデン人の貴族の生まれ、母は日本人のピアニスト。
破れた傘をさした貧しい生活、青山学院での学校生活。
不確かな国籍、難民として渡ったドイツ。
クロイツァーやカラヤンに認められ、バーンスタインの後押しを得て開くコンサートの間近に聴力を失ったこと。
強い影響を与え、ピアニストとしても人としても、フジコを大きく育て、
しかし手放しで認めてはくれなかった母。
たくさんの辛い出来事を語るフジコの筆は静かな力に満ちていて、祈りのようです。
「どこの国で、どんな生活をしようと、わたしは何も怖いことはなくなっていた」というフジコの言葉が印象的でした。
日本で認められても貫く、自然なストイックさ。こんなふうに年を重ねられたら、と思いました。
フジコの絵日記や写真、イラストも収録されています。