幼少の頃より度々メディアに登場しては我々の想定の斜め上を行く言動で
お茶の間を賑わして来た、天才スラッガー落合の一粒種、フクシ氏が
書籍を出した。
リビングで小便ブンまいたり、TVで我がままばかり言ってた馬鹿息子が
出した本なんて、何の足しにもならんだろ、せいぜい話のタネに読んで
やるよ的な感じで読み始めた。
冒頭のバカグラビアで度肝を抜かれ、相変わらず馬鹿なまま育ってんなあと
読み進めて行く。彼の半生、思うこと感じること、落合伝説の真偽、対談、
落合記念館初公開、そして家族についてなどなど。内容は盛りだくさんだ。
自分の立ち位置を踏まえ、演じ、家族を思い、もし地球が終わる時は、家族
三人川の字になって死のうと恥ずかしげもなく言い放つ、この大学生にショックを
受ける。小馬鹿にして読んでいたつもりが、いつしかフクシ氏の今時珍しいほど、
生一本な男気に魅入られていることに気付く。
かつて自殺を思いたったこと、ならば一緒に死んでやると言った母信子さん。
天才スラッガーの父を持つことで、様々な苦悩に悩まされ、困難に遭っても
決して家族には言わず、明るく振る舞う息子。
傲慢な馬鹿息子だと思っていたフクシ氏のなんと立派に育ったことか。
信子さんが時折入れてくるスナップの利いたコメントが、よくキレるスライダー
よろしく、場をなお一層盛り上げる。秘蔵アルバムは彼女の解説付き。特に
中でも片ページどアップ、ペットの鳥の死に号泣する少年フクシ氏に寄せた
信子さんのコメント、写真と相まって何ともしみじみさせられる。
そして、最後の最後。あとがきを電車内で読んでいた自分は不覚にも
涙ぐんでしまった。あとがきまで気は抜け無い。
バカ笑い目的で購入した筈が、一編の素晴らしい小説を読み終えたような、
なんだかだまされた気がする、そんな一冊。