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これほど穏やかで、しかも愛に満ちた音楽がほかにあるだろうか? 遥か天上のステンドグラスから、恩寵のように七色の光が降り注ぎ、敬虔(けいけん)なオルガンと清澄な合唱の響きにほの暗い大聖堂が満たされる。おごそかで高潔な祈りの感情と、偉大な神の懐に抱かれるような幸福感…。この曲のあまりの天上的な美しさに、ため息の連続となり、涙が湧きあがるのを抑えることができない人も多いのではないだろうか。
名匠クリュイタンスが指揮し、2人の傑出した独唱者を迎えた、1962年録音のこの名演は、フォーレの「レクイエム」の不朽の決定盤として、長く愛され続けてきたものである。巨大なスケール感とヴェールのような繊細さを兼ね備え、大きな大きな呼吸が全体をふっくらと満たしていくこの演奏は、いかなる煩悩(ぼんのう)をも洗い流してくれそうだ。
今回アビーロード・テクノロジーによってリマスタリングされ、音質は格段に良くなっている。モワモワした響きと思われていたものが、全部クリアになり、特に弦楽器群の鮮度は抜群。LPで聴きなじんだオールドファンにも、きっと初めて聴いたときの感動をよみがえらせてくれるだろう。(林田直樹)
内容(「CDジャーナル」データベースより)
EMIの最新のリマスタリング技術によって蘇るART(アビイ・ロード・テクノロジー)シリーズ。フランスの巨匠クリュイタンスによる感動的なフォーレのレクイエムは、今も同曲の代表盤だ。