ダグ・アルドリッジもレブ・ビーチも、相当サウンドにうるさいタイプで、スタジオでもライブでも、帯域のバランスが絶妙で実に気持ちのいいギターサウンドを聴かせてくれる。それは1980年代以降に主流となった、LAメタルの発展系とも言うべきスムースで分厚いものだ。
一時期はLED ZEPPELINに接近し過ぎたり、無駄なハイトーンが増えて批判されたりもしたけれど、現在のデヴィッド・カヴァデールのソングライティングは、おそらく「Ready An' Willing」の頃のブルーズ・ロックを指向している(これは大歓迎)。メロディもコードも「そっちに」行きたがるのだけれど、どうしても分厚く流麗なギターサウンドが、1970年代へのレイドバックを許さない。だから聴いていてスカッとしないというか、チグハグな印象を与える。
このアルバムのメロディなら、もっとナチュラルなサウンドの、レイドバックしたギタリストの方が合うに決まってる。どちらかと言えば、マースデン&ムーディが弾くべき楽曲だ。
こんな重厚&美麗なギターサウンドでなくていいし、ソロもシンプルでいい。そもそもギターが分厚すぎて窒息しそうだ。もっとスカスカでいい。ヴォーカルが自在に泳ぎ回るスペースがないし、音の隙間はギターでなくキーボードで埋めてほしい。
現在のWSラインナップは、ぶっちゃけライブで80年代のヒット曲を演奏するために存在する。それを具現化する上で、アルドリッジの存在は欠かせない。華もありテクニックもあり、サウンドもいい。それにある意味、現在のサイクス以上にサイクスらしいプレイができる(個人的にもBMRは大好きだったし)。
ただそのしわ寄せがスタジオアルバムに来ている。現在のカヴァデールは、サイクス時代の方向性ではなく、70年代の路線に戻りたがっている。少なくともメロディはそう主張している。その方向性には、アルドリッジやビーチはギター・オリエンテッドすぎて合わないのだ。