『フォレスト・ガンプ【一期一会】』は切なくて悲しいストーリーの力作である。懐かしくて落ち着く映画だった。美しい自然の風景のせいかもしれない。後半、ガンプが走ってアメリカを横断した時の映像は感動的である。撮影監督のドン・バージェスは「あの夕焼けは本当にラッキーだった。地元の人でもあんなに美しい夕焼けは珍しいって言ってたくらいだからね。でも、あれを見たほとんどの人が素晴らしいCG合成ですねって言うのには参ったよ」と語っている。
アメリカの優れたところは自国の痛い記憶を平気でエンターテイメントにしてみせるところである。都合の悪い歴史を歪曲し美化する傾向のある日本とは大違いである。過去を見ずに流し、反省のない国が戦争に負けたことは当然である。
但し、共和党寄りの保守的な発想も目に付いた。ガンプは意図せずに成功していくが、ジェニーは悲惨過ぎて辛くなる。地主の息子であるガンプは古き良きアメリカ・保守層、貧民の娘のジェニーは伝統的価値観の崩壊・革新層を象徴するような悪意も感じられる。その対立を小市民的視点からアメリカ現代史に沿って描き、最終的には伝統的で善意に充ちた世界観に丸く収めるという筋書きは社会の矛盾に目を背けている。