ロバート・マクナマラ・・苦学を重ね、ハーバード大で最も若くして教職につきそこで教えていた統計管理を陸軍入隊後、戦略爆撃(東京大空襲)に応用する。その後、経営不振のフォードに入りマーケティングを実施し小型大衆車の発売、衝突実験やシートベルトを開発により業績を回復させ社長に就任。その直後、ケネディ政権にスカウトされ国務長官に就任とまさにエリート街道を歩んだ彼の映像版の回顧録。
本作はインタビュー形式で過去を振り返りそこから11の教訓を導き出すという形になっている。
カーチス・ルメイにより実施された東京大空襲は一晩で一般市民10万人が焼死した。その他、名古屋、横浜など原爆を落とすまでに日本中の都市の半分以上を焼失した戦略爆撃は立案に関わったマクナマラ本人としても凄惨な出来事だった。
「負ければ犯罪者だが勝っても許されるか?」
この問いは第二次世界大戦の欧州戦線の3倍近い量の空爆が行われた北ベトナムにも生かされなかった。キューバ危機はケネディ・フルシチョフ・カストロとみな理性を持った人間でありながら破滅の手前まで行ったことから理性は必ずしもあてにならないとの教訓を得たそうだ。その時重要だった相手の身になって物を考えることが、ベトナム戦争ではできなかったと言っている。ベトナム反戦抗議としてペンタゴンで焼身自殺したモリソン事件はマクナマラにも心の傷となっているようだ。
見た目には華やかな彼の経歴も冷戦と核戦争の恐怖、ルメイやジョンソンとの対立と胃の痛くなるような事と常に隣あわせだった。それでも本作のように過去を振り返り教訓を得ようとできるのは外からは理性の塊と見える彼が自分の存在を超えたものに畏敬の念を持っていたからだ。