1972年10月6日リリース。1972年8月ロンドン、アイランド・スタジオにて録音。初期ジェネシスを代表するアルバムであり、練りに練った曲構成とフィル・コリンズの手足が別人のような演奏(『Watcher of the sky』)と怒濤の変拍子(『Supper's Ready』の最終部分)に支えられた作品である。このアルバムで全英12位を記録したのが多くのジェネシス・フォロアを産んだ原因だろう。
タイトルの『Foxtrot』はどうもこの時トニー・バンクスの使っていたメロトロン・マークIIのテープ・セットにプリセットされていたフォックストロットのリズムから来ているらしい。アルバム・ジャケットの下手上手い絵も最高で(デザインはPaul Whitehead、彼はこの曲を聴きながらこの絵を描いたらしく、『So, I'd hear the lyrics and over breakfast or dinner we would throw ideas around. It was a collaboration... It was a great collaboration!』と言っている。)、このジャケットの表紙に登場している『紅いドレスの狐のアタマの女』は最も初期のピーター・ガブリエルのステージ衣装になっている。
このアルバムでは特に『バッハのチェロ組曲のプレリュード』にインスパイヤされたという12弦ギターによる『ホライズン』をまさに前奏曲のように据えた、22分58秒の大作『Supper's Ready』に尽きると思う。聴かずには絶対死ねない名盤である。