NHK-BSで流れて本当に久しぶりに見ました。初めて見たのは高校の学校祭。所々印象的なシーンはあるものの一貫性なく、何か最後にドラマの盛り上がりがあるのだろうと思っていたら唐突にオーケストレーションの中でみんなが歌い出していきなり‘End’。何だこりゃと思いましたよ。「群像劇」というものがあることも知らなかったし、N.Y.の音楽院を舞台にした実話に近い物語だということも分からなかった頃の感想です(今でも群像劇は好みじゃないですけどね)。若さを「今そこにある現実」として現にきらめかせている人間にとって、若さのきらめきを描いた映画は特に必要ないということだったのでしょう。
しかしそれから20年も経ち、私自身が若さを躍動させている世代を教える立場になった今、この映画の放っている輝きがまぶしいくらいに映るのです。彼らは活力を持ち、無垢で純心で汚れを知らず、「壁」に対して体当たりで立ち向かうしか方法を知らず、そして果敢に立ち向かい、そして明日の輝きを真っ直ぐに信じています。同行した彼氏の方が合格し、文字が読めない悔しさに学校のガラスを割り、人種を越えた恋愛をし、『ロッキー・ホラー・ショー』に呼応し、口げんかで気まずい雰囲気になった中での漫談は全く受けず、常に皆の中心になって華やかさを振りまいていたココは騙されてヌードになり…。
青春の光と影。しかし彼らは清新な活力を失わず、そして確実にキャリアを蓄えて羽ばたいていきます。本当に4半世紀前の作品とは思えません。A.パーカー監督は誰か1人に感情移入を託すことなく、等身大の青春を等価に描き分けました。それは後の「MTV映画」と呼ばれる諸作の原型にもなった訳ですが、その根本に70年代カウンター・カルチャーが達成し得た「人種のサラダボウル」という偏見のなさがあります。前向きな明るさに満ちた1980年代の開幕を飾るに相応しい、不滅の青春映画です。