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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
フェルメール好きに贈るステキな文庫,
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レビュー対象商品: フェルメール ――謎めいた生涯と全作品 Kadokawa Art Selection (角川文庫) (文庫)
フェルメールの全作品をカラーで観賞できる文庫本です。著者はフェルメールの権威の小林頼子さんで、学識に裏付けられた詳細な解説の素晴らしさには息をのむ思いです。作品集としての性格も併せ持っています。30数点という非常に少ない各作品についてそれぞれ解説が付けられているのは当然として、同時代のオランダに花開いた風俗絵画の到達点にフェルメールが存在しているという絵画史の俯瞰の中で位置づけられているのが良かったと思います。同時代の画家の作品はモノクロですが、相当数を掲載してありますので、比較検討しながら観賞するとより理解が深まると思います。解説は示唆に富み、当時の時代背景をしっかりと捉えながら平易な文章でその魅力を伝えています。 ハンディな体裁を取っていますが、ある程度、彼やその時代の絵画に通じているほうが、筆者の主張の展開を深く理解できるのではと思います。勿論、本書でその素晴らしい画業と作品の良さを知ってもらうことで新たなフェルメール・ファンが生まれることでしょうが。 文庫本ですから、初めてフェルメールの作品に出会う人を想定しているのでしょう。廉価です。高価な美術書を購入するのはちょっとという向きの方には最適だと思います。フェルメールの作品の特徴を明確にして分析しているので、知的好奇心をくすぐる本だとも言えるでしょう。 本書でフェルメールを好きになった方は、実際にその作品を見る機会があれば、美術館に足を運んで作品と対峙していただきたいと思います。その精緻な筆遣い、光の粒の描き方、絵具の発色の素晴らしさ、遠近法を取り入れたその手法、市民社会の到来を鮮やかに描き切ったテーマ、どれをとっても世界最高峰の作品群ですから。
9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
コンパクトなのがいいです。,
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レビュー対象商品: フェルメール ――謎めいた生涯と全作品 Kadokawa Art Selection (角川文庫) (文庫)
作品解説のみならず、作家の人生を振り返り、表現や技法の変化を追っていける本です。学術的なアプローチなので、近代ヨーロッパの美術史に多少なりの知識が求められます。 そのため、解説に初心者にもおすすめと書いてあるのは疑問ですが、作家のほぼ全てが文庫サイズの中に凝縮されているのはすばらしいです。 紙質もよく、作品はカラー印刷で掲載されているので、コンパクトな保存版としておすすめです。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
フェルメールは光と空間が同一なことを発見したようだ,
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レビュー対象商品: フェルメール ――謎めいた生涯と全作品 Kadokawa Art Selection (角川文庫) (文庫)
フェルメールが「牛乳を注ぐ女」等で非常によく知られている画家のわりには私はその生涯について何も知らなかった。本書を読んで、初めて、しかも詳細に、さらにその作品群を目の前にして見ているかのようにして知ることができた。一度でもオランダ、ベルギー等の北ヨーロッパに住んだことがある人間にとっては本書はまったく抵抗なく読み進むことができる。それほどオランダの風土が彼女の説明とともに蘇ってくる。あたかも自分自身がオランダにいるかのようにして・・・副題は「謎めいた生涯と全作品」とあるが、“謎めいた”はともかく、彼の全作品については想像力を沸き立たせるような、しかし抑制の効いた筆致で書いてある。フェルメールが発見したのは、どうやら、光と空間が同一であったという、まさしく最先端の素粒子論から組み立てられた宇宙論の最新知見の一つを思わせるものであった。ギリシア以来、千年以上も人類が失っていた光と空間の正確な描写が、まずイタリアでのルネッサンスで成功し、それが北ヨーロッパへ飛び火し、フェルメールの作品群において徐々に光と空間が同一であるという革命的な視点に徐々に到達したようだ。これは、今でも我々のほんの一部がやっと理解し始めた現代そのものを超えるような着想である。本書では、明瞭にこうしたことを述べているわけではなく、私個人の勝手な感想に過ぎないが、本書を読んだあとでは、どうしても、そう判断せざるえない。 著者は一貫してフェルメールの作品群解説を通じて光と空間の取り扱いについて述べており、光がどのように見えるか、空間とは何かをフェルメールが生涯追求したことが本書によって伺える。人間は普通の状態では光を見ていない、物の位置もわかっているわけではない。まぶしい、物があるというのは単に動物と同じ感覚であり、人間にとって光と空間はもっと非常に深い意味をもっており、それら3つが融合したものを内実化し、象徴化した地点で人間の生活が動いているという、単純な“事実”をどうもフェルメールは3世紀以上前に発見したようである。本書は、そうした静かな感動を与える本である。 作品はカラーで豊富に掲載してあるが、唯一、当時のオランダの地図が幾つか欲しかった。これだけ多数の日本人が海外に生活し、行き来している以上、オランダは見知らぬ外国ではなく、千葉や埼玉のように身近に存在している国であるが、適切な地図が幾つかあれば、さらに内容の理解が深まっていくに違いない。
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