まえはし・じゅうじ
ライター。1953年生まれ。慶応大学経済学部卒。美術雑誌、自然科学書などの編集にたずさわる。2007年より「芸術新潮」ワールド欄に寄稿中。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「フェルメール」へのアプローチの仕方が光っています,
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レビュー対象商品: フェルメール巡礼 (とんぼの本) (単行本)
渋谷にあるBunkamuraザ・ミュージアムで『フェルメールからのラブレター展』で開催されていますが、それと歩調を合わせるかのようにしてステキな内容の『フェルメール巡礼』が出版されました。全作品を踏破された朽木ゆり子氏が「巡礼の道」という切り口で作品の素晴らしさ、美しさを記しています。どの作品も1ページを使い、クローズアップして解説している作品もありました。オールカラーで、大きくはありませんが、イメージはつかめます。所蔵の16の美術館を訪れることができるように、地図と全景の写真、住所、電話、アドレスほかが1ページにまとめて掲載してありました。123ページには世界地図を使用して例示していました。 朽木ゆり子氏が書かれた箇所の内容です。 巡礼の道1 オランダ(マウリッツハイス美術館、アムステルダム国立美術館) 巡礼の道2 ヨーロッパ(ドレスデン国立絵画館、ベルリン国立絵画館、シュテーデル美術館、アントン・ウルリッヒ公美術館、ウィーン美術史美術館、ルーヴル美術館、スコットランド・ナショナル・ギャラリー、ロンドン・ナショナル・ギャラリー、ケンウッド・ハウス、バッキンガム宮殿ステート・ルーム、アイルランド・ナショナル・ギャラリー) 巡礼の道3 アメリカ(フリック・コレクション、メトロポリタン美術館、ワシントン・ナショナル・ギャラリー) 本書のもう一つの良さは、前橋重二氏が主として執筆されている「コラム 誰も知らないフェルメール」でしょう。 1 お住まい拝見! 2 カメラを使った? 3 同時代画家との「往復書簡」 4 エコノミカル画法 5 《小路》は実在した 6 悲運の“師匠” 7 33億円絵画のいま 8 そこまでやるか! 画中の実物探し 9 盗まれた《合奏》 10 驚愕のピンぼけテクニック 11 鏡から消えた画家 以上のコラムは、読み応えがあり、フェルメール・ファンが興味を持つようなアプローチが多く見受けられました。 例えば、111ページの「そこまでやるか! 画中の実物探し」では、『信仰の寓意』で女性が右足を乗せている地球儀の実物との比較や、『絵画芸術』の壁の地図とオリジナルの地図、『天文学者』の天球儀や手元の本のオリジナルの対比など、上手く構成してありました。 本書でフェルメールを好きになった方は、今回のように実際にその作品を見る機会があれば、美術館に足を運んで作品と対峙していただきたいと思います。その精緻な筆遣い、光の粒の描き方、絵具の発色の素晴らしさ、遠近法を取り入れたその手法、市民社会の到来を鮮やかに描き切ったテーマ、どれをとっても世界最高峰の作品群ですから。
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