「17世紀オランダ『黄金時代』」で書かれているように、フェルメールは黄金時代と呼ばれていた国力豊かな17世紀のオランダに生きていました。「作品ギャラリー」の項目では彼の名作を25点掲載し、それぞれの作品の魅力を1行程度で伝えていました。
「フェルメールとその暮らし」章の「画家の後ろ姿を探して」の項で、彼の人生の歩みや当時のデルフトの状況や地域的な関係などを分かりやすく2ページで説明してありました。フェルメールを巡る古文書では、彼の足跡をたどれるような写真図版が結構数多く紹介してあり、類書とは一味違う工夫がなされています。
「デルフトゆかりの地を訪ねて」は当時の雰囲気を感じさせる街並みや歴史的建造物を紹介を通しており「フェルメールのデルフトマップ」でそれらの位置関係を具体的に紹介してありました。
「室内の彩り」の項では室内の装飾品や家具のイラストを通して生活ぶりが伺えますし、デルフトタイルの文様の魅力も伝わってきました。続くファッションや、人びとの暮らし、食卓の風景も同様で、描かれている可愛いイラストがイメージを膨らませました。
60ページ以降は、本書のメインテーマの1つのレシピに関する内容です。1667年に出版された『賢い料理人』に書かれている料理内容をヒントに、サラダ・ホワイトアスパラ・牡蠣のシチュー・ひき肉のローストレモンソース添え・パンプディングなど、当時の食卓のメニューが再現してありました。
その17世紀の料理の伝統を受け継ぐ現代オランダのレシピも2ページ見開きで掲載していました。実際に作れるように手順が書いてあり、完成した写真も紹介してあります。メニューは、ヘーリングの燻製プレート・マスタードスープ・エルデンスープ・野菜と肉のジャガイモマッシュ・豚肉のソテー オランダ風・ほうれん草とゆで卵 ジャガイモ添え・チコリのグラタン・ダッチシチュー・セモリナプディングなどで、美術好きでかつ料理好きの方にはたまらない取り上げ方でしょう。
キュレーターで、アートキッチン代表の林綾野さんによる珍しいフェルメールのアプローチが印象に残る本でした。