数学から離れて幾歳月という状態だが 本書には感動した。一日で読んでしまったほどだ。皆さんの言われている通り 数学が分からなくても十分堪能できる。
この本は何の本に似ているかというと 登山の話に似ている。ふもとから部隊を組んで 一歩一歩キャンプや基地を設営していく。キャンプを作っていった人たちは 各時代の数学者達だ。彼らなくして とてもこの最終定理は解決できなかったはずだ。各数学者は自分のキャンプを立てて そうして死んでいく。そう 正しく亡くなって行くのだ。本書はそんな数学者達の群像をきちんと捕らえている。ガロアの決闘前夜の姿は感動的だ。キャンプを作った中に日本人がいるのも嬉しい。特に頂上にアタックする最後のキャンプは大部分が日本人が作ったことがわかって嬉しかった。
そうして 最後の一人が頂上にアタックする。今までのキャンプに育てられてきた若者だ。最終定理はアイガーの北壁並みながら 若者が登っていく。最後の壁が本当に厚かった点は数学の分からない小生でもひしひしと感じる。そして来る頂上征服の瞬間。
本書は正しく「登山」の本だと思う。我々も自分の「頂上」がどこかにあるはずだ。それは数学ではなくても 何かがあるのではないか。
そんな感動の一冊。