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5つ星のうち 4.0
長く付き合えるジャズ・アルバム, 2003/11/11
レビュー対象商品: フェアリー・テイル (CD)
よくよく考えると、このアルバムが、僕の一番聴いたジャズ・アルバムかもしれない。聴いた人、なら勿論マイルス様なのだが。あまり考えずに聴けて、メロディーが心地よいアルバムというのは、意外に少ない。誰が聴いても「ビル・エヴァンス大好き」な感じなのだが、やはりメロディーの歌わせ方が、日本人的というか、親しみやすい。タイトル曲2や、アストラッド・ジルベルトも歌った7あたりが、特にお気に入りだが、全体的にリラックスして聴ける曲が多い。録音も、彼女の作品は全てそうだが、非常に良い。スリルとか、グルーヴとか、そういった要素を音楽に求めない人、あるいは時、に聴くのに最適なアルバム。
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5つ星のうち 4.0
木住野佳子の感性は心に触れるものが..., 2002/5/14
レビュー対象商品: フェアリー・テイル (CD)
B.エバンスへの共感をあらわしながら、ジャズの世界に独自の音楽を構築してみせた彼女を支持します。マイケル・ブレッカーの共演を実現したプロデューサにも拍手。フェアリー・テールとステラ・バイ・スターライトはまるで青白い炎が見えるような傑出した演奏となったが、他の彼女の自作曲も美しくかつ個性的。心の一部が共鳴を起こし、透明感で満たされる感がある。
ただ、その後に発表されたCDにはこの作品を越えるものがまだ無いと思うのは私だけだろうか?
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5つ星のうち 4.0
木住野佳子がアメリカの大物とわたりあった会心のデビュー作, 2005/5/13
レビュー対象商品: フェアリー・テイル (CD)
95年の発売だから10年前の作品。オリジナルを中心としてソフトで内省的な音楽を追究している最近の作品とはだいぶ感じが違うが、ここ10年間のピアノトリオ・アルバムの中では最高に好きな部類に入る。
木住野佳子(p)
トリオA:Eddie Gomez (b), Lewis Nash (ds): 1, 4, 5, 9
トリオB:Marc Johnson (b), Peter Erskine (ds): 2, 3, 6, 7, 8, 10
Michael Brecker (ts): 2, 6, 10 Roger Squitero (perc): 2, 6
当時まだ無名だったピアニストのデビュー・アルバムにしてこの豪華なメンバーはどうだろう! ジャズピアニストにとってベーシストは重要な相棒である。ビル・エバンスの影響を色濃く受けた木住野さんにとって、デビュー作でエバンスの相棒だったエディ・ゴメスやマーク・ジョンソンと共演し、しかもエバンスが作曲または演奏した曲を取り上げるというのは、ものすごく勇気がいることだったに違いない。
本作の聴きどころはやはりその2人のベーシストとの共演であるが、それぞれ別のドラマー(どちらも超一流)を呼んで、ふたつの違うトリオを組んでいるところが興味深い。強力なヴァーチュオーソ・タイプのエディ・ゴメスには、若手ながら伝統を踏まえた堅実なプレイをするいぶし銀タイプのルイス・ナッシュ。最後のエバンス・トリオを支えた後、フュージョン的な活動もしているマーク・ジョンソンには4ビート以外も柔軟にこなせる多彩なピーター・アースキン。
僕をノックアウトしたのはビューティフル・ラヴだ。まだ無名の日本人女性ピアニストのデビュー作の1曲目。パワフルなエディ・ゴメスと、しかもエバンスゆかりの曲を演奏するなんて大胆な! 負けてしまわないだろうか? そんな心配を胸にプレイボタンを押すと、なんとイントロとメロディの提示が終わった後、いきなりドラムがレイアウト(演奏を休むこと)して、ピアノとベースの一騎打ちが始まるではないか! グイグイ押してくるゴメスのベースに対し、しかしスピード感とファンキーさと華麗さを兼ね備えたソロで完全な主導権をとっているのは木住野さんのピアノである。ナッシュが見事な形で再登場を果たしてさらに音楽をドライヴしていく頃には、僕はすっかり感動してしまっていた。日本人ピアニストがエディ・ゴメスに負けてない、それどころか対等以上にやりあっている。なんてかっこいいんだろう!
かなり愛国主義的な感情が混じっていたとは思うが、この瞬間に僕は木住野ファンになったのである。
1曲目以外にも好きなのは、4曲目の「いつか王子様が」、エバンス作の5曲目「ファンカレロ」、軽快な7曲目Only Trust Your Heart。オリジナルでは表題曲も魅力的だし、録音最終日の打ち上げパーティで飲んだワインの銘柄をタイトルにした、ワルツのLafite '82もいい。サックスの大物マイケル・ブレッカーが3曲で参加しているが、フュージョン・モードなので僕は「ふーん」と聴き流している。ちなみにアルバムの最後をピアノソロで締めくくるという伝統は、このデビュー作から始まっていたのですね。
デビュー作がすべて、なんてこともいわれるが、これは本当に力の入ったデビュー作である。考え抜いて練り抜いて、これ以上はちょっと考えられないほど豪華なメンバーを得て、レコード会社も万全のサポートをした様子がうかがえる。それにしても、デビュー作でこれだけの大物に囲まれて、オリジナル曲も含めて堂々と自分の演奏をした木住野さんは才能だけでなく、肝っ玉にも恵まれているのだろう。
最近の木住野さんを聴いてファンになった人にも、颯爽とスイングしていたこのデビュー作をぜひ聴いて欲しい。