題名通り、アメリカ流ドリームを野球を通して描いたファンタジー映画である。この場合のドリームは所謂社会・金銭的成功ではなく、夢を持ち続ける事や家族の絆の大切さといった開拓時代のアメリカンドリームである。素直な感動に包まれる作品である。
農業を営むレイ(K.コスナー)は、若い頃に父との諍いから家出し、その後一度も会わなかった事を後悔しながら、日々の貧しい生活を送っている。そんなレイがある日、自身のトウモロコシ畑を歩いている際、不思議な声を耳にする。「If you build it, he will come」。レイはその言葉の力に魅入られて、トウモロコシ畑を切り開き、取り憑かれたように小さな野球場を作り始める。周囲は嘲笑うが、家族はレイを応援する。家族を初めとする設定はかなり異なるが、「恩讐の彼方に」を思わせるストーリー展開である。レイは黙々と作業を続けるが、しばらくは何も起こらない。それでもK.コスナーの誠実な演技が、物語の求心力を保たせていると思うし、適役だと思う。そして、ある日の夕方、奇跡は起こる。レイの創った野球場に人影が現われるのだった。その人物は、大リーグ史に汚点を残した"ブラックソックス事件"への関与を疑われたために球界を永久追放され、失意の内に亡くなった"シューレス"ジョーだった...。やがて一人一人と過去からの人影が増え始め、キャッチボールが始まる。そして、その中には...。
アメリカ人が夢や家族の絆を大切にしている事が率直に伝わって来る。同時にベースボールに対して強い郷愁を持っている事を改めて感じた。"シューレス"ジョーを初めとする過去に汚名を着た選手の名誉挽回とレイの精神浄化とが重層的に巧く描かれているとの印象を受けた。観ている側も心が洗われるような清々しい作品だと思う。