不況とはいえ、正社員に限っていえば、世界的にみて日本の長時間労働は際立っている。
夜10時〜11時の帰宅は当たり前。子供の寝顔をみるのがやっとという世界である。
企業にもよるが、会議も長時間に及び、自分の仕事ができるのは残業時間からというのが普通。
こんな状況の中で、いまだに国民は「景気回復」を求めているのだからどこかおかしい。
本書で紹介されているフィンランドは、人口が500万人程度の小国ながら、ノキアやイケアなど世界的に一流の企業があり、教育も世界一の水準。
重税国家である一方、福祉は行き届き、国民の政府への信頼も高い。
日本と同様バブルの崩壊を経験したが、いち早くその危機を脱している。
その秘訣がどこにあるのか、本書から十分に読み取ることはできなかったが、その一端に触れることはできた。
企業における男女の区別のなさ、上下関係のフラットさ、人と違うことをやれという教育。
何よりも、必要とあらば3時から退社も可能で、周囲も違和感なくそれを受け入れる風土。
本当の豊かさとは、GDPではない。
6時には家に帰り、家族と団欒をし、長期休暇も周囲に気兼ねせずに取れる社会づくりである。
いまだに、この国では「成長戦略」を念仏のように唱えているが、そろそろGDPではない「豊かさ」を実感できる社会づくりを目標としてみてはどうかと感じた。