本書は教育先進国として世界中から大きな注目を浴びているフィンランドのソーシャル・イノベーション=社会的な改革をハンドブック形式で紹介したものです。
世界一の教育を支える無料の教育制度や図書館制度を始め、高度な福祉を実現する手厚く多様な住宅政策や労働支援政策、国民の健康維持・疾病予防のための綿密な保健体制、社会問題を自ら解決していく多様な市民組織、などなどフィンランド社会を大きく発展させた社会制度の特徴が111の項目にわたって紹介されています。現在、教育と情報産業にのみ焦点が当てられがちなフィンランドですが、それらの成功の土台には民主主義を徹底させた効率的な福祉国家があり、その社会の特徴を政治からお菓子まで幅広く知ることができます。
また、各項目はフィンランドの政策当事者や専門家が執筆を担当しており、信憑性があり、加えて当時の内情や当事者の思いや苦悩なども率直に述べられており、楽しく読むことができます。冒頭でハロネン現大統領が一文を寄せており、まさにフィンランドを挙げてのフィンランドハンドブックといえます。
フィンランド社会についてその全体像や特徴を網羅的に把握するには、またとない良書です。制度疲労が叫ばれる日本の政治や行政、社会運営の現場で、本書を片手に仕事をする人が増えるのではないかと思います。