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フィネガンズ・ウェイク 1 (河出文庫) [文庫]

ジェイムズ・ジョイス , 柳瀬 尚紀
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,260 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

良き読者たちの本。
『フィネガンズ・ウェイク』文庫化!

 年頭に書店へ行って最初に買い求めたのは、自分の本である。 ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』の文庫版。3分冊になる第1冊目だ。自分の本について書くのはいささか気が引けるけれども、筆者にとって2004年はこの1冊とともに明けた。しゃべらずにはいられない。
 1991年に上梓した単行本のほぼ2分の1の文庫化――というと、一般読者はそれをごく単純な機械作業のように思うのではないだろうか。事実、通常のほとんどの単行本の場合、今日のコンピュータ技術はそれをいとも簡単にやってのけるはずである。しかしこの1冊目の場合、91年の時点で印刷所のコンピュータに記憶されたデータは使えなかった。総ルビやJIS規格外の漢字などが保存されていないからだ。したがって最初から組み直す段階、正確には打ち直す段階から始めねばならなかった。
 そして校正。通常の文庫本の場合、有能な校正者なら1冊をものによっては3日もあれば終えると聞く。担当してくれた、むろん有能な校正者が、この文庫1冊に1ヶ月かかった。校正者のことを考えると、さきほど「自分の本」といったのを取り消したい気持になる。それが恐ろしいくらいに大変な仕事であるのを、痛いくらいよくわかるからだ。
 痛いくらい、いや、実際に目が痛くなる日々だった。校正者の赤字で真っ赤になったゲラを筆者が見直す段階での話。予定より大幅に遅れた。見直すと、たんに誤植ではなく、不満な訳語も目につく。1個所を訳し直すのに1晩かけたこともある。結局、この1冊目の刊行が2ヶ月遅れた。
 nephew(甥)という英語を逆綴りにしたwehpenというジョイス語がある。これの訳語を作ったのは10年以上前だ。甥という文字の左右を逆にして、左に男、右に生を配置した。そして「いお」とルビをふった。『フィネガンズ・ウェイク』翻訳で用いた例外的な創作文字である。いや、創作文字だと思いこんでいたし、そう公言していた。
 ところがちょうど校正中、それが実在する文字であることをある読者から教えられた。「俗字の字典」
という実に充実したサイトをもつ福田雅史さん。
http://hp.vector.co.jp/authors/VA000964/html/zokuji.htmにぜひアクセスされたし。音は「せい」で、諸橋大漢和辭典にも収録されている。かくてその個所も訳し直しをした。 それにしても甥の左右逆の文字があることを知っていて、しかもそこまで細かく拙訳を読んでくれている読者がいることに感激する。「自分の本」という言い方を引っ込めたくなる。正確には良き読者たちの本なのだ。
 この1冊目に、まさしくジョイスフルな文章が加わった。大江健三郎さんの序文である。一切の序文依頼を断ってきた人だ。この文庫のために初めて序文をお書きになった。もはや「自分の本」とだけいえない。書店の文庫の棚や出版社の文庫目録から漱石や鴎外が消え始めたのは、いつ頃だったろうか。
今やまともな外国文学は文庫で入手できない。そんな状況で『フィネガンズ・ウェイク』を文庫版で読めるということを吹聴しても、譏(そし)りは受けまいと思う。 (柳瀬尚紀・訳者)

内容(「BOOK」データベースより)

数千年の人類の全歴史を酒場の家族の一夜の夢に圧縮した抱腹絶倒、複雑怪奇な傑作の幕開き。

登録情報

  • 文庫: 403ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2004/1/7)
  • ISBN-10: 4309462340
  • ISBN-13: 978-4309462349
  • 発売日: 2004/1/7
  • 商品パッケージの寸法: 14.8 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 101,534位 (本のベストセラーを見る)
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カスタマーレビュー

最も参考になったカスタマーレビュー
22 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 斜め読みで攻めてゆく 2007/5/21
By
形式:文庫
 わけ分からないはずです。しかし、わけ分からなくて当たり前。数ページで玉砕した自己を引き受けながら、それでも文字を追ってゆくうち、少しは面白いところが見えてきます。作者は、理解不能と言われることを承知で作ったんだろうから、読者だって無理する必要はないでしょう。訳者の想像を絶する足跡をたどりたい人は深読みすれば良いでしょうが、普通の読者は「つきあいきれん」で飛ばしてゆけば良いのでは。

 そうしてゆくと、並みの発想力では打ち立てられない言語芸術が少しは分かってきます。たとえば第一巻112ページの「老いトルコけ男たち・・・うすのロシアわせ娘たち」。こんな洒落、作ろうとしたってなかなか作れません。それから、あまりに見事なのであえて書かないけど、第一巻319ページの二行〜三行。昔学校の図書館でこの部分を読んで、まぎれもない傑作を知った感動を得たものです。

 そして最も気にかかる、第二巻202ページ。「ヤナセーカクの尚奇先生!」原文どうなってるんだ?!

 最後に、この作者が書くからこそしみじみと感慨深いこの言葉(第一巻209ページ)「さあて、忍耐だ。忘れてはならん、忍耐こそは偉大なるもの、そして何をさておきわれわれは忍耐の埒外に出たり埒外になったりするのは断じて避けねばならない。」。
このレビューは参考になりましたか?
26 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By RANZAN
形式:文庫
『riverrun』が、『commodius vicus』によって、我々をお城に連れて帰る、
みたいな感じのことがジョイス原文の冒頭に書いてあり、手持ちの英和辞書の
語彙不足を恨めしく思っていたら、なんと和訳が文庫で出ている!
ところが、commodius vicus の訳語が「今も度失せぬ媚行(こんもどうせぬ・びこう)」

しばし、この訳語の由来を考えあぐねていた。
そうか、「表音」も「表意」も訳してあるのだ、とわかった時点で膝を打った。
アダムとイブから始まり、天国への鍵を貰うところで終わりかけ、また最初に戻る
この歴史輪廻小説は、どこの国の誰が読んでも異なる理解で読める暗号で書かれて
いたのだ。

前野良沢がオランダ語「解体新書」を翻訳中に、「顔の中の高まり」の部分が訳せず、朝
から頭を抱えていた。その時、下女が庭掃除で枯葉集めをしているのを見て、『鼻』で
あると思いついた、というエピソードがある。

当、柳瀬氏の翻訳作業は、さぞや『前野良沢的』であったろうと、苦労がしのばれます。
もう一冊、「表音」を無視した一意的なストーリーテリング訳が柳瀬氏の手で出ていても
良いのではないでしょうか。エッチングの挿絵付で。
このレビューは参考になりましたか?
9 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫|Amazon.co.jpで購入済み
おそらく、20世紀文学の最高峰であろう。広くそう言われている。そうなのかもしれない。きっとそうなんだろう。うん、そうだ。

そういうわけで私も読んでみた。はっきり言おう。全然わからなかった。

しかし私は、この作品をとても楽しく読めた。わからなかったが苦痛ではなかった。なぜだろうか。それは翻訳者の柳瀬氏が、難解極まりないとともに、あまりにもくだらないこの希代の奇書を、「当て字」「当て読み」「ルビ」などを駆使しながら、Joyce『Finnegans Wake』から、それとは別の、柳瀬『フィネガンズ・ウェイク』を創り出したからである。翻訳は第二の創作である、と言われる。この作品は、訳者の想像力、創造性、独創性、遊び心がいかんなく発揮された作品ではないだろうか。辻仁成の駄作がフランス語に訳され、かの国の栄誉ある賞に浴したのも、翻訳者の力量あればこそであった(んじゃないかな)。

私がこの本を手に取ったいきさつだが、それはある辞典との邂逅である。一時よくテレビ番組に出演していた漢字博士・笹原宏之篇『当て字当て読み漢字表現辞典』(三省堂)である。その中で、柳瀬『フィネガンズ・ウェイク』に登場した、多くの「当て字」「当て読み」の用例が紹介されていたからである。例えば「ハレルヤ[hallelujah]」→「晴れるや」、「頓痴気」→「豚ちき」、「厚顔無恥」→「睾丸無知」、「セックス[sex]」→「セッ躯ス」など、数え切れない「当て字」「当て読み」がある。ついでに柳瀬氏ののエセー『日本語は天才である』も奨めたい。

「20世紀最高峰の晦渋極まりない古典的名著」と敬遠しないで、軽い気持ちで読んで頂きたい。
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5つ星のうち 2.0 やっと文庫化したが
面白くない、の一言。こういうのは映画でやったほうが面白いと思うよ。日本語だから詰まらないのかも知れないけど。
投稿日: 2004/1/10 投稿者: 三流の骨太
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