映画好きを自認する方なら誰しも「この一本」と言うのがあるのではないかと思います。
「これがBest1!」と仰々しく掲げる必要はないけれど素直に「これ、好きだなぁ」と思える作品。
有名な作品でなかろうが、作品賞とは無縁であろうが、そんな一本に巡り合えたらそれはとても幸せなことだと思います。
1978年公開の本作は私にとっては間違いなくMy Most Favorite Movieですね。
何も映画史に残るような「名画」ではありませんが、ロードショーで見た時はオープニングからラストのラストまでスクリーンにくぎ付け状態でとにかく楽しかった。
後にも先にもあれほど濃密な映画鑑賞体験は他になく、結果としてこの一本のおかげで本格的に映画と言うものにひかれてゆくことになったような気がします。
ヒッチコックの「知り過ぎた男」をモチーフにしながら抱腹絶倒のコメディとロマンス、そしてローマ法王暗殺のサスペンスをミックスした実に欲張りな作品です。
ゴールディ・ホーン(当時33歳!)の「可愛らしさ」、ダッドリー・ムーアの圧倒的な存在感、バージェス・メレディスとレイチェル・ロバーツの熟年カンフー対決、
オペラ「Mikado」のエキセントリックな味付け、街全体がアミューズメント・パークの様なサンフランシスコの景観、そしてバリー・マニロウの歌声…魅力は尽きません。
とは申すものの、時間は正直かつ残酷なものであります。
私が本作を最後に見た時からすでに相応な時間が経っております。
今改めて本作を見直して見てどのような感想が浮かぶものやら…。
また、昨今の映画に慣れた方々にどのように受け入れられるものやら見当もつきません。
しかし「面白い映画」「楽しい映画」「素敵な映画」。
僕の中で本作は今までも、そしてこれからも「特別な一本」として輝きは失われない、そんな気がします。