「昆虫記」の新訳を刊行中の奥本さんと昆虫写真で有名な今森さんによるファーブルと昆虫記をめぐる旅の本である。奥本さんは、東京・千駄木の「虫の詩人の館」にファーブルの生家を復元してしまってもいる。
前半は、ファーブルの生涯を写真と文章でたどり、昆虫記を書いたアルマス(現在は、自然史博物館分館)を訪れ、そこの展示の一端も垣間見る。後半は、奥本さんが今森さんとファーブルゆかりの地をおとづれる。奥本さんのユーモアも、いくつものエピソードも、また南仏で出会った虫たちの写真も、ふんだんに披露される。今森さんとイヴ・ドゥランジュさん(「ファーブル伝」の著者)との対談には、ファーブルと昆虫記に関する示唆に富む会話が多い。最後には、「虫の詩人の館」の紹介もある。全体、写真とその解説を読み進めるだけでも楽しい本である。
ファーブル紀行なので、ファーブルの住んだ土地などに焦点を当てた地図も掲げられていて有益であるが、1個所だけ難点は、父が夢を追いたどった街の中で、オーリャックがフランス全図の陰になって見えないこと。その他、必要なゆかりの地は全て掲げられている。
いずれにせよ、この本を読むとファーブルと昆虫記の舞台に誘われ、読み終わったとき、多くの読者は実際にファーブルが虫たちを追った地に行ってみたくなるに違いない。