いくつかの側面がこの映画にはある。
一つは、メキシコ人の低賃金労働者により、ハンバーガーのパテ製造工場は支えられているということ。不法入国斡旋人の手解きで、コロラドに職を求めるメキシコ人は、メキシコにそのままいれば一ヶ月に3、4ドルという収入レベル。ところが、不法入国し米国で職を得れば一日で10ドルの収入を得られる。一日で一か月分以上の収入を得られる。しかし、そこでは、まさに蟹工船状態の過酷な労働環境が存在する。機械に巻き込まれて、足の半分がなくなる様な事故は日常茶飯事だし、工場監督者と情事を結ぶことで、楽な役回りにまわしてもらえる。ドラッグも横行している。不法移民ゆえ、銀行口座はもてないから、闇送金しようとすると、35%もピンはねされる。それでも、メキシコにいるよりはましということである。工場の衛生環境は悪く、内臓の処理を誤り、パテに牛糞が混入することも特に当たり前である。
次に、牛そのものの劣悪な環境。まるで鶏小屋のように牛は囲いの中に密度高く詰め込まれ、遺伝子組み換え穀物がたっぷりの合成飼料を与えられる。これは、牧場と呼べるものではない。そして、次々に屠殺され、ばらばらに解体されていく。映画はこのシーンも映し出している。
そして、バーガー屋の本社の対応である。パテに牛糞混入の風説を裏付けるべく、社長はマーケティング部長は現地に調査に出されるが、工場の衛生環境責任者(ブルース・ウィリス)は意に介せず、むしろ社長と同じくらい癒着権力を持っていると脅すくらいである。行政もバーガー屋は大口献金主で懐柔されている。高校生たち(なぜかそこにアブリル・ラヴィーンが・・)が牛の囲いを壊して、牛を逃そうとするが、牛は逃げようともしない。知らぬは消費者のみで、儲かる仕組みと見えざる犠牲がそこに存在する。
映画だから、脚色はされていると思う。マクドナルドやモスバーガーはそうではなくて、もう少しはましにやっていると信じたい。しかし、見えないだけかも、とふと思ってしまう。工場の衛生管理によるパテの品質とコマーシャルでのおいしそうなパテのマーケティング戦略はまったく別物であるといつまで記憶していられるか。あれは、食品というよりは、工業製品である。