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ファントムの奇っ怪なマスクが『ベルセルク』にモロにパクられたのをあげるまでもなく、日本でもカルトな人気を博してきた怪作(にして快作)。
クセが強く万人にお勧めできる内容ではないのですが、しかしまさかこんな作品が千円以下で買えるとは…。いい世の中になったなぁ。(いや、良くないのかも(^^;))
この値段なら間違いなくお買い得。本家『オペラ座~』が映画化された今、だまされたと思って、このけったいな『パチモン』を是非一度ご覧ください。
きっとだまされますから(^^)。
と、冷静に解説するとわれながらまったくわけがわからんのであるが、じっさいの内容はもっとわけがわからないのである。
オタクで冴えないミュージシャンがプロデューサーに曲を盗まれ冤罪でム所にブチこまれ、脱獄するも声を奪われふた目と見られぬ醜い姿にされた挙句、意中の女性シンガーまで寝取られる、とまあ人間が想像しうるすべての悪夢をひとしきり体験したかれは復讐に狂い、恐怖のファントムに姿を変え残忍な殺戮を繰り返す。
キチガイじみたスピード感が全編を貫くなか、十九世紀的な退廃感と七〇年代商業主義ロック・シーンをシンクロさせる手腕は見事。
そしてこの映画の真の恐怖は、ファントムに姿を変えた青年の殺戮劇ではなく、ひとりの青年の人生を圧倒的な権力でいともたやすく狂わせ、破滅させ、嘲り笑う悪魔のようなプロデューサーにあることは言うまでもない。そしてプロデューサーのキャラクターはショー・ビジネス界に渦巻く大衆の狂気的な欲望そのものを象徴していると読み解くのも、あながち無意味な試みではないだろう。まさに人びとの欲望の中から産まれ落ちた、悪魔のような怪作である。
「なんの取り柄もなく人から好かれないなら 死んでしまえ」「おまえが死ねば みんな喜ぶ」と歌われるエンディング・テーマは圧巻の極み。この映画には終始一貫して清々しいまでに一片たりと救いがない。そしてこの映画に熱狂するような人種であれば、もともと救いなど必要としてはいない筈だ。
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